
更年期障害に半夏厚朴湯が良いと聞いたあなた。
半夏厚朴湯は、漢方の古典「金匱要略:婦人雑病編」に記載のある非常に歴史のある漢方処方です。
実際、多くの更年期障害の方々が、半夏厚朴湯を服用してその効果を実感されています。
ただ、半夏厚朴湯は、更年期障害に万能な漢方薬ではありません。
漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。
それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、症状は改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあります。
血液検査があるわけではないので、病態を読み取るのは、問診や脈診や舌診などを駆使して行うため難しく、漢方薬を選ぶには、豊富な知識と経験が必要となってきます。
今回、更年期障害に半夏厚朴湯が良いと聞いて、飲んでみたいと思われた方に向けて
- 半夏厚朴湯の代表的な7つの効果について
- 半夏厚朴湯が改善する東洋医学的な病態
- 半夏厚朴湯の合う方がほぼ共通で自覚している5つの自覚症状
についてご紹介していきます。辛い更年期障害の症状が自分に合った漢方薬にて改善されるのを願っております。
目次
1.半夏厚朴湯の代表的な7つの効果について
ツムラ16半夏厚朴湯(医療用)の添付文書には以下のように記載されています。
気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸証:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症
動悸、めい、嘔気、不安神経症、せき、不眠症など、更年期障害で起きる症状がたくさん記載のあることからも、半夏厚朴湯が、更年期障害の改善に役立つ漢方薬であることが分かると思います。
ただ、漢方薬の効能効果の記載で注意しなければならない点があります。
それは、西洋医学の病名が当てはまる方に、その漢方薬がすべて効くわけではないということです。
そこで、次に半夏厚朴湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかについて説明させていただきます。
2.半夏厚朴湯が改善する東洋医学的な病態
半夏厚朴湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかを知るために、金匱要略に記載のある半夏厚朴湯の条文をご紹介させていただきます。
漢方の古典には、「~のような時には、この漢方薬が効きます。」と記載されているからです。
1)金匱要略にある記載にある半夏厚朴湯の条文
金匱要略 婦人雑病編 5条
女人の咽の奥の方かあるいは食道の上の方にあぶった小さな肉切れがくっついている様な気のする者は半夏厚朴湯がこれを主るということ。
咽の奥の方かあるいは食道の上の方にあぶった小さな肉切れがくっついているような気がするのがポイントです。
2)半夏厚朴湯を構成する生薬
つづいて半夏厚朴湯を構成する生薬から半夏厚朴湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかを紹介します。
半夏厚朴湯
半夏 (辛・平)6.0
厚朴 (苦・温)3.0
茯苓 (甘・平)5.0
蘇葉 (辛・温)2.0
生姜 (辛・温)1.0
半夏厚朴湯は、温める(温)生薬が3つ、温めも冷やしもしない生薬(平)が2つで構成されています。
このことから、半夏厚朴湯は、温める働きが強いことが分かります。
半夏厚朴湯のあうかたは、全体的に冷えの傾向があります。
半夏は、体内の気を補って水をさばく働きがあり、水の停滞によっておこる嘔吐、お腹のゴロゴロ、咳や咽痛を治します。茯苓も水をさばきます。厚朴は、皮膚、特に胸から腹にかけて温めて気の通りをよくして蘇葉と生姜によって胃腸を温めて気の発散をよくします。特に気と水のつまりがのどの付近を中心としてあるものを改善する働きがあります。
3.半夏厚朴湯の合う方がほぼ共通で自覚している5つの症状
1と2を参考に半夏厚朴湯の合う方がほぼ共通して自覚している5つの症状についてまとめました。
1)咽頭に何か詰まった感じがする
2)食欲はあまりないが、食べたら食べられる。
3)精神的に不安定
4)動悸や息苦しさがある
5)咳をしようとするが痰は出ない
5つの症状があれば、半夏厚朴湯のあう可能性が高いです。
まとめ
半夏厚朴湯は、漢方の古典「金匱要略:婦人雑病編」に記載のある非常に歴史のある漢方処方です
実際、多くの更年期障害の方々が、半夏厚朴湯を服用して更年期障害を克服されています。
半夏厚朴湯は、
1)咽頭に何か詰まった感じがする
2)食欲はあまりないが、食べたら食べられる。
3)神経質で何か悩み事がある
4)動悸や息苦しさがある
5)咳をしようとするが痰は出ない
の5つの自覚症状があれば、半夏厚朴湯の服用をおすすめします。


