
ひょっとしたら膀胱炎かも。市販薬で何とかしたい。残念ながら、抗生物質や抗菌薬の内服薬は市販されていませんが、漢方薬があります。実際、非常に多くの方々が漢方薬にて、膀胱炎の症状を改善されています。ただ、漢方薬の場合、証と言って、合うタイプ、合わないタイプがあります。漢方薬の場合、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、症状は改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
- 小便の回数が多くて少ししか出ない人
- 排尿痛(軽ければ違和感、重ければ血尿)
- 口の渇き、水を飲みたくなる
- 便が緩い、もしくは下痢
- 残尿感
という5つの症状があれば猪苓湯をおススメします。それは、猪苓湯の原典「傷寒論・金匱要略:小渇小便利淋病脈証併治」に記載のある条文、漢方薬のパッケージに記載のある効能、ならびに猪苓湯を構成している生薬から判断できます。ただ、必ずしも5つすべての症状がないと猪苓湯が効かないというわけではありません。最終的には、猪苓湯の改善できる病態とご自身の体の状態が一致しているかどうかを判断する必要があります。
本記事では、膀胱炎に効く自分にあった市販薬をお探しのあなたに向けて、
- 猪苓湯が合うタイプの方が自覚している5つの症状と猪苓湯の合う病態
- 猪苓湯を服用して起こりうる副作用
について詳しくご紹介していきます。5つの症状と猪苓湯の合う病態を参考に、今の体の状態に猪苓湯があっているかどうかを確認して服用してください。早く膀胱炎の症状が改善されることを願っております。
猪苓湯が合うタイプの方が自覚している5つの症状と猪苓湯の合う病態
猪苓湯の原典「金匱要略:小渇小便利淋病脈証併治」に記載のある条文をチェック
猪苓湯の合うタイプかどうかを判断するために、猪苓湯の記載のある原典「金匱要略」の条文を確認してみます。金匱要略は、色々な病気別に「~のような症状には~という漢方薬が良いよ」という感じで漢方薬が紹介されています。
猪苓湯は、「脈浮、発熱、渇欲飲水、小便不利者、猪苓湯主之」とあります。 熱っぽくて、喉が渇いて水が欲しくなり、小便がすっきりでない症状に猪苓湯が合います。と記載されています。
パッケージ記載の猪苓湯の効能をチェック
今の症状が猪苓湯の合うタイプかどうかを判断するために、猪苓湯の効能を確認してみます。なぜ効能効果を確認するかと言いますと、漢方薬の効能には、どのようなタイプの方に合いますよ!という形式で記載されているからです。
猪苓湯の効能には
体力に関わらず使用でき、排尿異常があり、ときに口が渇くものの次の諸症:
排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみ
と記載されています。※4つの症状は、赤太字で記載
猪苓湯を構成する生薬をチェック
ほとんどの漢方薬は、複数の生薬を配合して構成されています。生薬一つ一つには、働きがあり、それを組み合わせることにより、漢方薬の多彩な効果があらわれます。ひとつひとつの生薬の働きを確認することで、どのようなタイプの方に猪苓湯が合うかが分かります。
猪苓湯は、猪苓(ちょれい)・茯苓(ぶくりょう)・阿膠(あきょう)・滑石(かっせき)・沢瀉(たくしゃ)の5つの生薬で構成されています。
(1) 猪苓(ちょれい)
猪苓は、ししほどの菌体で、甘く、温めも冷やしもしない生薬で、口の渇きを止めて、小便をスムーズに出す働きがあります。
(2) 茯苓(ぶくりょう)
茯苓は、甘く、温めも冷やしもしない生薬で、体内の水の流れを正常化する働きのある生薬で、水が不足して乾いている部分を潤して、小便をスムーズに出す働きがあります。
(3) 阿膠(あきょう)
牛皮や驢馬皮から製したにかわで、甘く、温めも冷やしもしない生薬で、組織の破れを治して、出血を止める働きがあります。また、血を補ったり、体に潤いをつけたりする働きがあります。
(4) 滑石(かっせき)
タルクのことで、甘く、冷やす生薬で、緊張を鎮め、熱を去り、塞がりを開く働きがあります。それにより、口の渇きを治して、小便をスムーズに出す働きがあります。
(5) 沢瀉(たくしゃ)
サジオモダカの根茎で、 甘く、冷やす生薬で、熱を去って、乾きを潤す働きがあります。口の渇きを治して、小便をスムーズに出す働きがあります。小便がスムーズに出るようになると、下痢や緩くなっていた便通も正常になります。
この5つの生薬は、すべて甘味の生薬です。甘味の生薬は、脾に入り、血や津液を作ります。沢瀉と滑石は、冷やす生薬なので、津液(潤い)を多くして熱を取ります。阿膠により熱によって障害を受けた組織を修復し、猪苓・茯苓によって、小便をスムーズに出すことで、症状を改善します。
以上より、猪苓湯の合う方は、熱、特に膀胱に熱がある状態です。
膀胱に熱がある時に起きる自覚症状が、(1)~(5)の症状となります。膀胱の熱の程度と熱がある期間によって、症状が軽かったり重かったり、でなかったりします。膀胱に熱がなくても、膀胱炎のような症状が起きることがあります。その場合は、猪苓湯では、治りません。他の処方を考える必要があります。
猪苓湯を服用して起こりうる副作用
本来、漢方薬には、副作用はありません。ただ、タイプの合わない漢方薬を服用したり、本来の服用方法と違う方法で服用したりすると思わぬ副作用がでてしまうことがあります。
猪苓湯の場合、配合される生薬に対するアレルギーが無い限り、大きな副作用は起きにくい処方です。
まとめ
猪苓湯は、
- 小便の回数が多くて少ししか出ない人
- 排尿痛(軽ければ違和感、重ければ血尿)
- 口の渇き、水を飲みたくなる
- 便が緩い、もしくは下痢
- 残尿感
の5つの自覚症状を持っている方にピッタリの漢方薬です。膀胱に熱がある時に効果を発揮します。副作用は少ないお薬です。今回の5つの症状にいずれも当てはまらない方は、効果が期待できませんので、別の処方を検討した方が良いです。漢方薬局の薬剤師に相談することをおすすめします。
自分に合った漢方薬を服用して、膀胱炎の症状が改善されることを心より願っております。
当店での取り扱い
クラシエ 猪苓湯 36錠
45包
