
小青竜湯について詳しく知りたいあなた。
小青竜湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」「金匱要略」に記載のある非常に歴史ある漢方薬です。
ツムラ小青竜湯の添付文書には、気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症の7つの効能効果が記載されています。
ただ、ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。
それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、小青竜湯について詳しく知りたい方に向けて
・小青竜湯の代表的な7つの効果について
・小青竜湯は東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのか
ついて紹介していきます。
自分に合った漢方薬を選ぶことは、とても難しいことです。
ただ、自分に合った漢方薬と出会った場合、中々治らなかった辛い症状が、嘘みたいに治ることがあります。
自分に合う漢方薬に出会い、辛い症状を改善されることを心から願っております。
1.小青竜湯の代表的な7つの効果について
1)ツムラ小青竜湯(一般用医薬)の添付文書には以下のように記載されています。
体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症
気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症
2)ツムラ19小青竜湯(医療用)の添付文書には以下のように記載されています。
下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙:
気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒
3)トータルで考えると
ほぼ同じですが、一般用医薬品ではむくみの効能効果がありますし、医療用ではアレルギー性結膜炎が記載されています。アレルギー性結膜炎は一般用医薬品の花粉症の症状の1つとも考えることもできます。
ただ、漢方薬の効能効果の記載で注意しなければならない点があります。
それは、西洋医学の病名が当てはまる方に、すべて合うわけではないということです。
そこで、次に小青竜湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかについて説明させていただきます。
2.小青竜湯は東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのか
小青竜湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかを知るために、傷寒論に記載のある小青竜湯の条文をご紹介させていただきます。
漢方の古典には、「~のような時には、この漢方薬が効きます。」と記載されているからです。
1)傷寒論にある記載にある小青竜湯の条文
傷寒論太陽病中編 10条
傷寒にかかって表熱症がとれず、心下に水分があるため、乾嘔、発熱、咳し、あるいは口が渇き、あるいは下痢し、あるいはむせて、あるいは小便の出が悪く下腹が張り、あるいは喘する場合は、小青竜湯これを主る。
傷寒論太陽病中編 11条
傷寒にかかって、心下に水分があるために、咳して少し喘し、発熱しても口渇しない。もし薬を服用してから口渇する場合は、寒がなくなって治ろうとしているのだ。小青竜湯が主治する。
心下に水分があるのがポイントです。
心下とは、心臓の下の部分にある胃を指します。胃に水分がある。
胃に水分がある理由は、胃が冷えているからです。
胃が冷えて胃に水分の多い人が、傷寒にかかった場合のことが10条11条に記載されています。
傷寒とは、寒さに傷つくと書きますが、体の防衛が寒さによって傷つけられた状態(風邪をひいた状態)で、具体的には、悪寒や発熱や体の痛みなどの症状が現れます。
条文通りに読んでいきます。
傷寒に侵されてしまって、何とか自然治癒力で治そうと頑張ったけど、寒気や発熱などの表熱症状が残ってしまった。
胃が冷えて水分が多いために、それが悪さをして、からえずきや発熱や咳がでている。
人によっては、口が渇いたり、下痢をしたり、むせたり、おしっこの回数が減ったり、下腹がはったり、ぜいぜいしたりする人もいる。
そのような場合は、小青竜湯を飲むと治ります。
11条は、小青竜湯を飲んで、口が渇いてくるようなら、それは、胃の冷えがなくなって、胃の水分が取り除かれて治ろうとしている状態です。
小青竜湯で治ります。
この条文から小青竜湯は
胃が冷えて水分が多い人が、皮膚から寒の刺激を受けて、胃の水分が悪さをして、肺に影響を及ぼし、咳や鼻水などの症状が出てしまう方にピッタリの漢方薬であることが分かります。
おしっこの回数が減っている人もいるということなので、人によっては、むくみにも効果があると推測できます。
2)小青竜湯を構成する生薬
小青竜湯
麻黄 (苦・温)3.0
芍薬 (苦・平)3.0
五味子(酸・温)3.0
乾姜 (辛・温)3.0
甘草 (甘・平)3.0
桂枝 (辛・温)3.0
半夏 (辛・平)5.0
細辛 (辛・温)3.0
小青竜湯は、温める(温)生薬が5つ、温めも冷やしもしない生薬(平)が3つで構成されています。
このことから、小青竜湯は、温める働きが強いことが分かります。
五味子・乾姜・細辛で、胃を温め胃の働きを正常にします。
麻黄・桂枝で体の表面に入ってきた冷え(傷寒)を温めて汗として追い出しします。
半夏は、胃以外の体内の水を取り除きます。
芍薬・甘草は、水分の発散を手助けします。
小青竜湯を構成する生薬からも、もともと胃が冷えて体に過剰な水分がある方が外からの寒の刺激を受けることによって、起こる病態に対応できることが分かります。
まとめ
小青竜湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」「金匱要略」に記載のある非常に歴史ある漢方薬です。
気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症は、小青竜湯の代表的な効能効果です。
ただし、それらの症状があるすべての方に合うわけではなく、胃が冷えて胃に過剰な水分がある人が外から体を冷やしてしまったために起こる症状に効果があります。


