
「多嚢胞性卵巣症候群に温経湯が効く!」ということを聞いて、温経湯がどんな漢方薬か知りたくなったあなた。
温経湯は、漢方の古典「金匱要略:婦人雑病編」に記載のある非常に歴史のある漢方処方です。実際の臨床の現場では、多嚢胞性卵巣症候群に温経湯が用いられています。
ただ、温経湯は、多嚢胞性卵巣症候群に万能な漢方薬ではありません。漢方薬には証というものがあり、合うタイプ合わないタイプがあるからです。
そこで、今回、温経湯がどのようなタイプの方に合うのか分かりやすいように、漢方薬の説明書に書かれている温経湯の効能効果と「金匱要略」に記載のある温経湯の条文、そして、温経湯の合う方が感じている5つの自覚症状についてまとめました。
目次
薬の説明書に書いてある温経湯の効能・効果
体力中等度以下で、手足がほてり、唇がかわくものの次の諸症:月経不順、月経困難、こしけ(おりもの)、更年期障害、不眠、神経症、湿疹・皮膚炎、足腰の冷え、しもやけ、手あれ(手の湿疹・皮膚炎)
金匱要略の記載のある温経湯に関する条文
問うて曰く、婦人五十所、下痢を病み数十日やまず、夕方になると熱を発して下腹がかたく吊って腹が満ちて、手のひらがほてって口唇が乾燥するのはどうしてか。師の曰く、その病は、帯下です。何故かというと、以前に流産したことによってお血が下腹に停滞をして取り切れていない。何をもってこれを知る。その症、口唇乾燥するなり、故にそれを知る。当に温経湯を以って之を主るべし。また婦人の下腹部が冷えて、そのために永い間妊娠しない者、兼ねて子宮主性出血のため貧血する者、あるいは月経過多の者、月経不順の者に良い。
温経湯の合う不妊症の方が感じている5つの自覚症状
1. と2. より温経湯の合う不妊症の方が感じている5つの自覚症状についてまとめました。
- 唇の乾燥
- 手のほてり
- お腹の張り
- おりものがある
- 冷え性
1. ~4. は、条文にも書いてありますが、お腹(子宮と考えても良いです)にお血(血流が悪くなって粘度が高くなりできたよどんだ血液状態)がある時に現れる一つの自覚症状です。温経湯は、それを取り除いてくれます。
5. の冷え性は、温経湯に配合されている生薬を考えてみるととても良く分かります。温経湯は、12種類の生薬を配合してできている処方ですが、その中で冷やす生薬が1つ、少し冷やす生薬が1つであとは温めるか温めも冷やしもしない生薬で、全体として温める働きが強い漢方薬であることが分かります。
温経湯は生薬を煮出して服用する漢方薬
漢方薬の処方名に~湯と記載のあるものは、生薬を煮出してそれを服用するのが正しい方法です。温経湯は、12種類の生薬を煮出してその煮汁を服用します。ただ、ちょっと手間がかかるので、エキス顆粒という生薬の煮汁を粉に吹きかけたものが一般的に用いられています。手間がなくて服用しやすいのですが、やっぱり生薬を煮出して服用した煎じ薬が効果的です。
1. ~5. の自覚症状があって、温経湯を服用してもなかなか症状が取れない方は、煎じ薬を出してくれる漢方薬局で温経湯を出してもらうと良いです。
温経湯のエキス顆粒には、阿膠が配合されていないもがほとんど
温経湯の12種類の生薬の中には、阿膠という生薬が配合されています。なかなか貴重な生薬であるため、ツムラやコタローなどほとんどのメーカーの温経湯エキス顆粒には、ゼラチンが代用で用いられています。阿膠がゼラチンになってしまっている分、どうしても効き目が落ちてします。
煎じ薬でなく、手間なくエキス顆粒で、本来の阿膠を配合した温経湯を服用されたい方は、東洋薬行の温経湯をおすすめします。ゼラチンではなく、阿膠が配合された温経湯です。
まとめ
温経湯の合う多嚢胞性卵巣症候群の方が感じている5つの自覚症状として、
- 唇の乾燥
- 手のほてり
- お腹の張り
- おりものがある
- 冷え性
をあげました。それに加え、月経不順や月経過多、不正出血などの症状があれば、さらに合うタイプと言えます。
それらの自覚症状があって、服用してもなかなか改善しない場合は、東洋薬行の温経湯や煎じ薬の温経湯を服用するのもとても良い方法だと思います。


