呉茱萸湯

頭痛|呉茱萸湯の合うタイプ|自覚症状5つでチェック

呉茱萸湯は、漢方の古典「傷寒論や金匱要略」に記載のある非常に歴史ある漢方処方です。

ツムラ31炙甘草湯の添付文書(医療従事者向けの説明文書)によると、習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐、脚気衝心4つの効能効果が記載されています。

ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。

それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。

 

本記事では、呉茱萸湯について詳しく知りたい方に向けて

 

・呉茱萸湯が合うタイプとは

・頭痛で呉茱萸湯の合う方が感じている5つの自覚症状

 

についてまとめました。適切な漢方薬でつらい症状が改善されることを願っております。

 

 

1.呉茱萸湯が合うタイプ

 呉茱萸湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」「金匱要略」に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。呉茱萸湯は、呉茱萸湯があうタイプに合うかを「傷寒論」と「金匱要略」に記載のある呉茱萸湯の条文と配合されている生薬から説明していきます。

 

1)傷寒論にある記載にある呉茱萸湯の条文

 

穀を食し、嘔せんと欲するものは、陽明に属するなり。呉茱萸湯これを主る。湯を得て反って劇しき者は上焦に属するなり。(傷寒論:陽明病編)

 食べ物を食べて、吐き気がするような人に呉茱萸湯があいます。

 少陰病、吐痢、手足厥冷し、煩躁して死せんと欲する者は呉茱萸湯を主る(傷寒論:少陰病編)

少陰病で吐いたり、下したりして手足の先のほうから冷えて、胸が張ってひどく苦しがって死ぬように苦しがっている者は、呉茱萸湯が治します。

乾嘔、吐涎沫、頭痛の者は呉茱萸湯を主る。(傷寒論:厥陰病編)

からえずきをして、唾液や薄い痰をはいて、頭痛をする人は呉茱萸湯が治します。

 嘔して胸満者、呉茱萸湯これを主る(金匱要略:嘔吐噦下痢病編)

嘔して胸が張ってくる人は、呉茱萸湯が治します。

 

以上の条文より、手足が冷えて、吐き気や頭痛のする人に呉茱萸湯が合うことが分かります。

 

2)呉茱萸湯を構成する生薬

 呉茱萸湯

呉茱萸(辛・温) 5.0 呉茱萸の実で、胃を温めて、胃の働きをよくする。

人参 (甘・微寒)3.0 オタネニンジンの根で、胃腸の働きを活発にして気血津液の生成を活発にする。

生姜 (辛・温) 6.0 胃の温め、胃の陽気を盛んにして、発散させる。

大棗 (甘・平) 4.0 脾を補い、津液を多くして緊張を緩める。津液を多くすることによって血を多くする。

 

呉茱萸湯は4つの生薬を配合して作られています。

 

呉茱萸は、辛く温める生薬なので、胃を温めて、胃の陽気を盛んにさせます。

生姜同じ辛く温める生薬で、胃を温めて、陽気を発散させる働きがあります。

人参は、気血津液の生成を活発にさせて、大棗は、血を多くする働きがあり、血が多くなると、からだも温まります。

以上より、呉茱萸と生姜の胃の温める働きがベースとなっていることが分かります。よって、冷飲食などで特に胃を冷やしてしまって、吐き気や頭痛が起きている場合に呉茱萸湯があることが分かります。

 

2.頭痛で呉茱萸湯の合う方が感じている5つの自覚症状

  • 気持ちが落ち着かず安静にしておられない
  • 項背部(うなじから背中にかけて)凝っている。
  • よだれや唾液が多い
  • 冷たいものを多く摂った
  • 吐き気や下痢もある

条文に記載のある煩躁という状態が、気持ちが落ち着かず安静にしておられない状態です。

 

まとめ

 呉茱萸湯は、漢方の古典「傷寒論や金匱要略」に記載のある非常に歴史ある漢方処方です。


ツムラ31炙甘草湯の添付文書(医療従事者向けの説明文書)によると、習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐、脚気衝心4つの効能効果が記載されています。ここからも頭痛に効果的な漢方薬であることが分かります。傷寒論や金匱要略の条文から、手足が冷えて、吐き気や頭痛のする人に呉茱萸湯が合うことが分かります。生薬から考えると、胃がとても冷えた状態を改善する働きのある漢方薬であることが分かります。気持ちが落ち着かず安静にしておられない、項背部(うなじから背中にかけて)凝っている、よだれや唾液が多い、冷たいものを多く摂った、吐き気や下痢もある、このような状態の方の頭痛に効果的です。

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