
葛根湯は、陽気を発散する力が衰えたために起こる様々な症状に効く漢方薬です。
ツムラ1葛根湯の添付文書(医療従事者向けの説明文書)によると、葛根湯には、12の効能効果が記載されています。12も!と驚かれたかもしれません。ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。 それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、葛根湯がどのような漢方薬か知りたい方に向けて
・葛根湯12の効果
・葛根湯で改善できる東洋医学的な病態とは?
ついて紹介していきます。自分に合った漢方薬を選ぶことは、とても難しいことです。ただ、自分に合った漢方薬と出会った場合、中々治らなかった辛い症状が、嘘みたいに治ることがあります。自分に合う漢方薬に出会い、辛い症状を改善されることを心から願っております。
目次
1.葛根湯の12の効果
葛根湯の添付文書には、以下の様に記載されています。
自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
どちらかというと、体の表面の部分におきている炎症に効果があることが分かっていただけるかと思います。
つづきまして、葛根湯で改善できる東洋医学的な病態について説明していきます。
2 葛根湯で改善できる東洋医学的な病態とは?
葛根湯は、葛根、麻黄、桂枝、芍薬、大棗、生姜、甘草、の7個の生薬で構成されています。それぞれの生薬の働きを理解できると、東洋医学のあう東洋医学的な病態がわかってきます。
1)葛根【甘・平】
特に首筋から背中にかけての筋肉のこわばりを緩める働きがあります。
2)麻黄【苦・温】
温めて発汗させることで痛みを取り除く働きがあります。
3)桂枝【辛・温】
皮膚表面の陽気を補って、皮膚の発汗の機能が回復して、表の気のめぐりがよくなります。
4)芍薬【苦・平】
筋肉のたるみをひきしめ、凝りを改善し、血行をよくします。
5)甘草【甘・平】
緊張を緩めて元通りにする働きがあります。
6)生姜【辛・温】
発散により体の外側の気を増やす働きがあります。
7)大棗【甘・平】
緩める働きがあり、血を作り、血のめぐりをよくします。
麻黄と桂枝の働きにより陽気を発散させます。生姜は、陽気の製造元である胃を補い、陽気を補います。芍薬は、筋肉のたるみをひきしめ、甘草・大棗は、筋肉の緊張を緩めて、この組み合わせにより凝りを改善し、血行をよくします。大棗には、血を作る働きもあります。以上の6つの生薬の働きにプラスして、葛根は、特に首筋から背中にかけての筋肉のこわばりを緩めて、血行を改善させてくれます。
以上のような働きにより、陽気を発散させる力の衰えにより、発散できず陽気が滞っておきてしまった症状を改善してくれます。
まとめ
葛根湯は、陽気を発散する力が衰えたために起こる様々な症状に効く漢方薬です。
葛根湯は、自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症 感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましんの効能効果があります。この効能効果も、陽気の発散する力が衰えたために起きた場合には効き目がありますが、そうでないと、効果が現れません。一度専門家にご相談されることをおすすめいたします。


