
呉茱萸湯について詳しく知りたいあなた。呉茱萸湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。
ツムラ呉茱萸湯の添付文書には、4つの効能効果が記載されています。
4つもと驚かれたかもしれません。ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。
それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、呉茱萸湯がどのような漢方薬か知りたい方に向けて
- 呉茱萸湯の4の効能効果
- 呉茱萸湯で改善できる東洋医学的な病態とは?
について紹介していきます。
自分に合った漢方薬を選ぶことは、とても難しいことです。ただ、自分に合った漢方薬と出会った場合、中々治らなかった辛い症状が、嘘みたいに治ることがあります。自分に合う漢方薬に出会い、辛い症状を改善されることを心から願っております。
呉茱萸湯の4つの効能効果
ツムラ漢方31番呉茱萸湯(医療用)の添付文書には、
手足の冷えやすい中等度以下の体力のものの次の諸症:
習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐、脚気衝心
となっております。脚気衝心とは、脚気による心不全のことです。他の効能をみると、呉茱萸湯は、主に頭痛と吐き気を取り除いてくれることがわかります。
ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
続いてどのようなタイプの人にこのような効果が現れるかをお伝えするため呉茱萸湯で改善できる東洋医学的な病態について説明します。
呉茱萸湯で改善できる東洋医学的な病態について
呉茱萸湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかを「傷寒論」と「金匱要略」に記載のある呉茱萸湯の条文と配合されている生薬から説明していきます。なぜ、漢方の古典の条文を紹介するかというと、
漢方の古典には、「~のような時には、この漢方薬が効きます。」と記載されているからです。
傷寒論にある記載にある呉茱萸湯の条文
傷寒論に記載のある、条文を記載します。
穀を食し、嘔せんと欲するものは、陽明に属するなり。呉茱萸湯これを主る。湯を得て反って劇しき者は上焦に属するなり。
(傷寒論:陽明病編)
食べ物を食べて、吐き気がするような人に呉茱萸湯があいます。
少陰病、吐痢、手足厥冷し、煩躁して死せんと欲する者は呉茱萸湯を主る
(傷寒論:少陰病編)
少陰病で吐いたり、下したりして手足の先のほうから冷えて、胸が張ってひどく苦しがって死ぬように苦しがっている者は、呉茱萸湯が治します。
乾嘔、吐涎沫、頭痛の者は呉茱萸湯を主る。
(傷寒論:厥陰病編)
からえずきをして、唾液や薄い痰をはいて、頭痛をする人は呉茱萸湯が治ります。
嘔して胸満者、呉茱萸湯これを主る
(金匱要略:嘔吐噦下痢病編)
嘔して胸が張ってくる人は、呉茱萸湯が治ります。
以上の条文より、手足が冷えて、吐き気があって、頭痛のする人に呉茱萸湯が合うことが分かります。
呉茱萸湯を構成する生薬
呉茱萸湯
- 呉茱萸 (辛・温) 5.0
呉茱萸の実で、胃を温めて、胃の働きをよくする。 - 人参 (甘・微寒) 3.0
オタネニンジンの根で、胃腸の働きを活発にして気血津液の生成を活発にする。 - 生姜 (辛・温) 6.0
胃の温め、胃の陽気を盛んにして、発散させる。 - 大棗 (甘・平) 4.0
脾を補い、津液を多くして緊張を緩める。津液を多くすることによって血を多くする。
呉茱萸湯は4つの生薬を配合して作られています。
呉茱萸は、辛く温める生薬なので、胃を温めて、胃の陽気を盛んにさせます。生姜も同じ辛く温める生薬で、胃を温めて、陽気を発散させる働きがあります。人参は、気血津液の生成を活発にさせて、大棗は、血を多くする働きがあり、血が多くなると、からだも温まります。
呉茱萸と生姜の胃の温める働きがベースとなっていることが分かります。よって、冷飲食などで特に胃を冷やしてしまって、吐き気や頭痛が起きている場合に呉茱萸湯があることが分かります。
まとめ
呉茱萸湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」「金匱要略」に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。
ツムラ漢方31番呉茱萸湯の添付文書によると、手足の冷えやすい中等度以下の体力のものの次の諸症:習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐、脚気衝心の効能効果が期待できます。
ただ、すべての方に合うわけではなく、特に胃の冷えのある方におきる頭痛や吐き気に効果があります。


