
多嚢胞性卵巣症候群の診断を受けて、自分が重度なのか知りたいあなた。
クロミッドやレトロゾールなどの排卵誘発剤を服用したけど、なかなか排卵できなかったり、副作用がひどくでてしまったあなた。
なかなか排卵できず、妊娠できないのではないかと不安になっているあなた。
PCOSには、診断基準として「軽度」「重度」といった明確な重症度分類があるわけではありません。
それは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断基準に、「軽度」「重度」といった記載がないことから分かります。
ただし、月経周期、排卵の有無、男性ホルモンによる症状、インスリン抵抗性、不妊の程度などによって、症状の現れ方には個人差があります。
最後までお読みいただければ、症状が重い人の特徴や妊娠への影響について分かるようになっておりますので、最後まで読み進めていただければと思います。
多嚢胞性卵巣症候群に重度と軽度はあるの?
PCOSには「重度・軽度」という正式な分類はありません。
それは、現在のPCOSの診断基準では、「軽度」「中等度」「重度」といった重症度分類は設定されていないことから分かります。
ただ、症状の強さには、個人差がものすごくあります。
例えば、生理周期でも40日前後で来る方もみえれば、3ヶ月以上こない方もみえます。
「重度PCOS」という言葉は医学的な正式分類というより、症状が強い、排卵障害が強い、治療が難しいと感じている状態を表すために使われることがあります。
PCOSの症状が強いと感じる人にはどんな特徴がある?
多嚢胞性卵巣症候群の症状が強いと感じる人にはどんな特徴があるのかまとめました。
ただ、これらの症状があるからといって、「重度PCOS」と診断されるわけではありません。
生理が何か月も来ない
生理が何ヶ月も来ない。
月経周期が長くなるほど、排卵の頻度が低下している可能性があります。
そのため、ご本人としては「PCOSの症状が重い」と感じることがあります。
しかし、月経周期の長さでPCOSの重症度を判断することはできません。
多嚢胞性卵巣症候群は3つをすべて満たすと診断されますが、その中の一つが月経周期異常です。
月経周期異常は、診断基準では、無月経、稀発月経、無排卵周期症とするとなっております。
月経周期が長くなるほど、排卵の頻度が低下している可能性があります。
そのため、ご本人としては「PCOSの症状が重い」と感じることがあります。
だからと言って、月経周期の長いからPCOSの重症というわけではありません。
クロミッドを飲んでも排卵しない
多嚢胞性卵巣症候群で妊娠希望の人には、排卵誘発を行います。
その時に使われる薬剤の一つがクロミッドです。
クロミッドには、クロミッド抵抗性と呼ばれる、クロミッドを服用しても上手く排卵しないケースがあります。
この場合、「PCOSが重度だからでは?」と不安になる方もいます。
クロミッドが効かなかったとしても、それだけでPCOSが重度だと考える必要はありません。
排卵誘発剤には複数の選択肢があり、治療方針を変更することで排卵が得られる場合もあります。
クロミッドが効かないことでPCOSの重症というわけではありません。
レトロゾールを服用しても排卵しない
多嚢胞性卵巣症候群で妊娠希望の人には、排卵誘発を行います。
その時に使われる薬剤の一つがレトロゾールです。
現在、多嚢胞性卵巣症候群の排卵誘発の最初の薬剤として、レトロゾールが使われるケースが増えてきております。
レトロゾールを服用して排卵を誘発しても上手く排卵しないケースがあります。
この場合、「PCOSが重度だからでは?」と不安になる方もいます。
レトロゾールが効かなかったとしても、それだけでPCOSが重度だと考える必要はありません。
排卵誘発剤には複数の選択肢があり、治療方針を変更することで排卵が得られる場合もあります。
レトロゾールが効かないことでPCOSの重症というわけではありません。
男性ホルモンの症状が強い
男性ホルモン由来の症状として、多毛やニキビがあげられます。
他の多嚢胞性卵巣症候群の人と比べて毛が濃いと感じることもあります。
そして、ニキビも、治療してもなかなか治らないこともあります。
このような場合、「PCOSが重度だからでは?」と不安になる方もいます。
しかし、ことことでPCOSの重症というわけではありません。
なかなか痩せない
多嚢胞性卵巣症候群の人は、一定の割合で肥満の方がみえます。
これは、インスリン抵抗性などが関与していると考えられています。
ダイエットをしてもなかなか痩せなかったり、すぐに太ってしまうことがあります。
このような場合、「PCOSが重度だからでは?」と不安になる方もいます。
しかし、このことでPCOSの重症というわけではありません。
LHや男性ホルモンが高い
多嚢胞性卵巣症候群は3つをすべて満たすと診断されますが、その中の一つがアンドロゲン過剰症またはLH高値です。
アンドロゲン過剰症は、血中アンドロゲン高値またはアンドロゲン過剰症状で判定します。
血中のアンドロゲンの数値が高い場合、同じようにLHの数値が高い場合、「PCOSが重度だからでは?」と不安になる方もいます。
しかし、LHや男性ホルモンの値で、PCOSの重症というわけではありません。
AMHの数値が高い、卵巣の多嚢胞が多い
多嚢胞性卵巣症候群は3つをすべて満たすと診断されますが、その中の一つが多嚢胞卵巣またはAMH高値です。
この時のAMHの数値が高い場合、同じように卵巣の膿疱が多い場合、「PCOSが重度だからでは?」と不安になる方もいます。
しかし、AMHの数値や卵巣の膿疱の多さでPCOSの重症というわけではありません。
重度のPCOSでも妊娠できますか?
はい。PCOSで排卵障害があっても、妊娠を目指すことは十分可能です。
PCOSは排卵障害を起こしやすい病気ですが、排卵誘発剤などによって排卵を促す治療が行われます。
レトロゾールやクロミッドなどの排卵誘発剤、必要に応じてゴナドトロピン療法など、複数の治療法があります。
また、年齢や不妊期間、卵管や精子の状態などによっては、人工授精や生殖補助医療が検討されることもあります。
「PCOSが重いから妊娠できない」と決めつける必要はありません。
PCOSの体質改善に漢方という選択肢も
漢方では、PCOSそのものだけを見るのではなく、月経周期、冷え、むくみ、疲れやすさ、胃腸の状態、睡眠、ストレスなどを含めて、その方の体質を考えながら相談を行います。
医療機関での排卵誘発治療と併用しながら、体調を整える目的で漢方を取り入れる方もいます。
私の運営する漢方薬局では、
- クロミッドを飲んでも排卵しなかった
- 3ヶ月以上月経がこない
- PCOSを改善したい
このようなご相談を受けることがあり、現在の治療内容を伺いながら漢方相談を行っています。
東洋医学では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の背景には、「瘀血(おけつ)」「痰湿(たんしつ)」「腎虚(じんきょ)」など、いくつかの原因が複雑にからんでいると考えます。そのため、同じPCOSでも人によって原因は人それぞれ異なり、その方の体質や体調に合わせて漢方薬を選び、月経周期や体調を整えることを目指します。
私の運営する漢方薬局では、現在受けられている治療内容を伺いながら、一人一人違う原因に合わせて生活習慣も含めて漢方相談を行っています。
PCOSで排卵がうまくいかなかった方の漢方相談例
実例の概要
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断され、排卵誘発剤(クロミッド)を服用したが、副作用で2周期目に断念。
漢方薬で生理周期を整えるために相談に。5ケ月で32~34日の生理周期に安定。
- 利用したサービス 漢方相談
- 年齢 33歳 女性
- お住まい 関東地方
- 主なお悩み 多嚢胞性卵巣症候群
- 相談開始時の生理周期 38~42日(最長60日)
- 症状の期間 以前より
- 相談期間 5ヶ月
- ご希望 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を改善したい
- 病院治療との併用状況 あり
ご相談まで経過
低用量ピルを中止して妊活を開始しました。
婦人科でPCOSと診断され、クロミッドによる排卵誘発を開始しましたが、
- 吐き気
- 卵巣痛
- イライラ
などの副作用が強く、2周期で服用を中止しました。
その後も生理周期は38~42日、長い時には60日となり、
「自然に排卵できる体になりたい」
との思いで当薬局へご相談いただきました。
※これは一例であり、すべての方に同様の結果が得られることを示すものではありません。
「重度かどうか」より大切なのは何?
PCOSでは「重度か軽度か」だけで治療方針を決めるわけではありません。
実際には、
・排卵しているか
・月経周期はどのくらいか
・男性ホルモンの状態
・インスリン抵抗性の有無
・年齢
・妊娠を希望しているか
・他の不妊原因がないか
などを総合的に考えて治療方針を決めていきます。
「PCOSが重度なのでは?」と心配になった場合は、重症度だけを気にするのではなく、現在どのような排卵状態なのか、妊娠を目指すためにどのような治療が適しているのかを医師に確認することが大切となってきます。
まとめ
PCOSには「重度」「軽度」という明確な医学的分類があるわけではありません。
ただし、月経不順や排卵障害、男性ホルモンによる症状などの程度には個人差があります。
クロミッドが効かない場合でも、レトロゾール、メトホルミン、FSH療法など、複数の治療選択肢があります。
PCOSだから妊娠できないということではありません。
ご自身の症状や治療経過に合わせて、医師と治療方針を相談することが大切です。
また、漢方薬という選択肢もあります。
また、漢方では月経周期や冷え、血流、ストレスなどを含めて体質改善を目指す考え方があります。
当薬局では、PCOSで妊活中の方や、多嚢胞性卵巣症候群のお悩みの方の漢方相談を行っています。一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に重度・軽度はありますか?
現在のPCOSの診断基準では、「軽度」「中等度」「重度」という明確な重症度分類は設定されていません。
ただし、月経周期、排卵の状態、男性ホルモンによる症状、インスリン抵抗性などには個人差があります。そのため、症状が強い方は「自分は重度のPCOSなのでは?」と感じることがあります。
「重度かどうか」だけで判断するのではなく、ご自身の排卵状態や症状を確認することが大切です。
Q2.PCOSが重度だと妊娠しにくいですか?
PCOSでは排卵障害が起こりやすいため、妊娠までに時間がかかる場合があります。
ただし、PCOSだから妊娠できないということではありません。レトロゾールやクロミッドなどの排卵誘発剤、必要に応じてゴナドトロピン療法、人工授精、生殖補助医療など、状況に応じた治療方法があります。
年齢や不妊期間、卵管や精子の状態なども含めて、医師と治療方針を相談することが大切です。
Q3.クロミッドが効かないのは、PCOSが重度だからですか?
いいえ。クロミッドが効かなかったことだけで、PCOSの重症度を判断することはできません。
PCOSではクロミフェンに反応しにくい「クロミフェン抵抗性」がみられることがあります。
クロミッドで十分な排卵が得られない場合でも、レトロゾール、メトホルミンとの併用、ゴナドトロピン療法など、別の治療方法が検討されることがあります。
Q4.レトロゾールが効かない場合は、重度のPCOSですか?
レトロゾールを服用しても排卵しなかったからといって、それだけで「重度のPCOS」と判断することはできません。
排卵誘発剤への反応には個人差があります。
レトロゾールで十分な反応が得られない場合には、治療方法や投与方法を見直したり、他の排卵誘発法を検討したりすることがあります。
Q5.AMHが高いと、重度のPCOSということですか?
いいえ。AMHが高いことだけで、PCOSの重症度を判断することはできません。
PCOSではAMHが高値になることがありますが、AMHは卵巣予備能などを評価する指標としても用いられます。
検査結果だけを見るのではなく、月経周期、排卵の状態、男性ホルモンの状態、超音波検査などを総合して判断することが大切です。
Q6.卵巣にたくさんの卵胞があると、重度のPCOSですか?
卵巣に多数の小卵胞がみられることはPCOSに関連する所見の一つですが、卵胞の数だけでPCOSの重症度を判断することはできません。
PCOSでは、月経周期や排卵、アンドロゲンの状態などを総合的に評価して診断します。
Q7.PCOSで生理が3ヶ月以上来ない場合は、重度ということですか?
3ヶ月以上月経が来ない場合、無月経の原因を確認する必要があります。
PCOSが原因の場合もありますが、妊娠、甲状腺機能異常、高プロラクチン血症など、他の原因が関係していることもあります。
「PCOSが重度だから」と自己判断せず、月経が長期間来ない場合は婦人科で原因を確認することをおすすめします。
Q8.PCOSでも自然妊娠できますか?
はい。PCOSであっても自然妊娠する方はいます。
PCOSでは排卵の回数が少なくなったり、排卵が不規則になったりすることがあります。そのため、妊娠を希望する場合には、排卵の状態を確認しながらタイミング療法や排卵誘発治療などを行うことがあります。
妊娠を希望している場合は、年齢や妊活期間なども考慮して、早めに医療機関へ相談することが大切です。
Q9.PCOSの治療と漢方薬は併用できますか?
医療機関での治療と漢方薬を併用することはあります。
ただし、服用している薬や治療内容によって注意が必要な場合もありますので、自己判断で併用するのではなく、現在受けている治療や服用中の薬を薬剤師や医師に伝えたうえで相談することをおすすめします。
当薬局では、医療機関での治療内容を伺いながら、月経周期、体調、生活習慣などを含めて漢方相談を行っています。
Q10.「重度PCOSかもしれない」と思ったら、何を確認すればいいですか?
「重度か軽度か」だけを考えるのではなく、
・月経周期はどのくらいか・排卵しているか・男性ホルモンの状態はどうか・インスリン抵抗性などの問題はないか・妊娠を希望しているか・これまでの排卵誘発治療に反応したか
などを確認することが大切です。
PCOSの症状や治療への反応には個人差があります。
「PCOSが重度だから妊娠できない」と決めつけず、ご自身の状態に合った治療方法を医師と相談していきましょう。

