
半夏瀉心湯について詳しく知りたいあなた。
半夏瀉心湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」「金匱要略」に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。ツムラ半夏瀉心湯の添付文書には、12の効能効果が記載されています。
12もと驚かれたかもしれません。ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。
それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、半夏瀉心湯がどのような漢方薬か知りたい方に向けて
- 半夏瀉心湯の12の効能効果
- 半夏瀉心湯で改善できる東洋医学的な病態とは?
について紹介していきます。
自分に合った漢方薬を選ぶことは、とても難しいことです。ただ、自分に合った漢方薬と出会った場合、中々治らなかった辛い症状が、嘘みたいに治ることがあります。自分に合う漢方薬に出会い、辛い症状を改善されることを心から願っております。
半夏瀉心湯の12の効能効果
ツムラ14 半夏瀉心湯(医療用)の添付文書によると、
みぞおちがつかえ、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のあるものの次の諸症:急・慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症
となっております。神経的な疾患から消化器症状まで幅広い効果が期待できることが分かります。
ただ、最初にも述べましたのが、漢方薬の効能効果には、特徴があります。それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
続いて半夏瀉心湯で改善できる東洋医学的な病態について説明します。
半夏瀉心湯で改善できる東洋医学的な病態について
半夏瀉心湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかを「金匱要略」に記載のある半夏瀉心湯の条文と配合されている生薬から説明していきます。
なぜ、金匱要略の条文をご紹介するかというと漢方の古典には、「~のような時には、この漢方薬が効きます。」と記載されているからです。
金匱要略にある記載にある半夏瀉心湯の条文
嘔して腸鳴し心下痞する者、半夏瀉心湯を主る
金匱要略嘔吐噦下痢病12条
【要約】吐き気があって、腸がゴロゴロなって、心下部につまった感じがする人に半夏瀉心湯を用います。
半夏瀉心湯のあう方は、心下部につまり感、げっぷ、吐き気、胸やけ、腸鳴などの自覚症状があります。特に心下部のつまった感じがあるのが重要な自覚症状になります。
半夏瀉心湯の合うタイプと症状(配合生薬より)
半夏瀉心湯は、7つの生薬から構成されています。この生薬の働きをひとつひとつみていくことで、半夏瀉心湯が東洋医学的にどのように働くかが分かってきます。
半夏瀉心湯
- 半夏 (苦・平) 5.0g
- 黄芩 (苦・平) 2.5g
- 乾姜 (辛・温) 2.5g
- 人参 (甘・微寒)2.5g
- 黄連 (苦・寒) 1.0g
- 大棗 (甘・平) 2.5g
- 甘草 (甘・平) 2.5g
体を冷やす生薬と温める生薬が少しずつ入っていることが分かります。
半夏
半夏(はんげ)は、カラスビシャクの根で、辛く温めも冷やしもしない生薬で、気を補い体の余分な水を取り除いて、嘔吐やお腹のゴロゴロや咳や咽喉痛を治す働きがあります。
黄芩
黄芩(おうごん)は、こがねばなの根で、苦く温めも冷やしもしない生薬で、熱を鎮め熱より生まれる心臓の下のつかえ、下痢、腹痛、身熱などを治してくれます。
2乾姜
乾姜(かんきょう)は、生姜の根を湯通しして干したもので、辛く温める生薬で、身体の内部の深いところを温め、下痢を止めて嘔を治します。
人参
人参(にんじん)は、甘く少し冷やす生薬で、胃腸や膵臓の働きをよくして、体全体の内臓の働きを良くしていきます。
黄連
黄連(おうれん)は、黄連の根で、苦く冷やす生薬で、心臓の下のつかえを取り除き、下痢や出血、胸苦しさ、腹痛などをとります。
大棗
大棗(たいそう)は、なつめの実で、甘くて温めも冷やしもしない生薬で、胃を元気にして血のめぐりをよくする働きがあります。
甘草
甘草(かんぞう)は、甘くて温めも冷やしもしない生薬で、気力を増やす働きがあります。
すべての生薬を合わせて考えてみると
黄連と黄芩で胸にある熱を取り除きます。半夏は、心下の水を除き、大棗、人参は胃腸の働きをよくします。乾姜と甘草は排便状態を正常にします。
東洋医学的には、胸に熱がありますが、胃は冷えている状態です。悩み事を多く抱えている人が、この状態になることがあるので神経症などにも用いられます。
まとめ
半夏瀉心湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」「金匱要略」に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。
みぞおちがつかえ、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のある方の急性胃腸炎・慢性胃腸炎、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症などの症状に使われます。


