
半夏瀉心湯が肩こりに効くと聞いたあなた。
半夏瀉心湯は、傷寒論や金匱要略という漢方薬の古典に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。
ただ、傷寒論にも金匱要略にも肩こりへの使用について記載はありません。
そして、ツムラ半夏瀉心湯の効能効果にも肩こりの記載はありません。
半夏瀉心湯で改善される病態をお持ちの方が、半夏瀉心湯を服用して症状を改善した結果、体調がよくなり、二次的に肩こりが改善されることは考えられます。
今回、
- 傷寒論や金匱要略に記載のある半夏瀉心湯の条文
- ツムラ半夏瀉心湯の効能効果
をご紹介します。
1)傷寒論や金匱要略に記載のある半夏瀉心湯の条文
傷寒論や金匱要略に記載のある半夏瀉心湯の条文を紹介します。なぜ紹介するかというと、傷寒論や金匱要略には、~の時には、○○という漢方薬が効きますと記載されているからです。
傷寒論 太陽病下編 22条
傷寒五六日、嘔して発熱する者は、柴胡湯の証具わる。しかるに他薬を以ってこれを下し、柴胡の証なお在る者は復た柴胡湯を与え、これすでに之を下すといえども、逆となさず。必ず蒸蒸として振い、却って発熱汗出でて解す。若し心下満して鞕通する者、これ結胸となすなり。大陥胸湯これを主る。ただ、万して痛まざる者は、これを痞となす、柴胡之を与うるにあたらず。半夏瀉心湯に宜し。
傷寒にかかって5、6日が経ち、嘔気があって発熱する者は、柴胡の証が備わっているのであるが、他の下剤で下した。それでもまだ柴胡の証なお在る者は復た柴胡湯を与える。下剤で下したけど謝った治療ではない。必ず体内から熱気が蒸し出されるように体が震え、発熱して、汗が出て治癒するのである。もし、心下が張って硬くなり痛まない者は、上腹部のつかえである。柴胡剤を与えてはいけない。半夏瀉心湯を投与するのが良い。
金匱要略 嘔吐噦下痢病 12条
嘔して腸鳴、心下痞する者、半夏瀉心湯之を主る
嘔気がしてお腹がゴロゴロ鳴り、心窩部に痞えがある人は、半夏瀉心湯が主治します。
どこにも肩こりの記載がないことが分かります。
2)ツムラ半夏瀉心湯の効能効果
ツムラ半夏瀉心湯の添付文書に記載のある効能効果を紹介します。
みぞおちがつかえ、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のあるものの次の諸症
急・慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症
こちらにも肩こりの記載はありません。
3.まとめ
半夏瀉心湯は、傷寒論や金匱要略という漢方薬の古典に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。
傷寒論にも金匱要略には、半夏瀉心湯の肩こりへの記載はありません。
そして、ツムラ半夏瀉心湯の効能効果にも肩こりの記載はありません。
ただ、傷寒論や金匱要略、半夏瀉心湯の効能効果に記載のあるような状態の人が半夏瀉心湯を服用し、症状が改善されて体調がよくなった結果、二次的に肩こりが楽になるケースはあるかもしれません。
一般的に肩こりが主訴の方に半夏瀉心湯を用いるケースはあまりありません。


