
加味逍遙散について詳しく知りたいあなた。
加味逍遥散は、漢方の古典「和剤局方」に記載のある逍遥散に牡丹皮と山梔子を加えた(加味した逍遥散=加味逍遥散)非常に歴史のある漢方処方です。
逍遥とは、難しい言葉ですが、ふらふら歩くという意味があり、ふらふらと症状が定まらない時に用いる漢方薬という意味が込められています。
ツムラ24加味逍遥散の添付文書(医療従事者向けの説明文書)によると、加味逍遥散には、6つの効能効果が記載されています。
6つも!と驚かれたかもしれません。
ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。
それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、加味逍遥散がどのような漢方薬か知りたい方に向けて
・加味逍遥散の6つの効果
・加味逍遥散が改善する東洋医学的な病態
について紹介していきます。
この記事が、少しでもお役に立てることを心から願っております。
1. ツムラ24加味逍遥散の6つの効果
ツムラ24加味逍遥散の添付文書には、以下のように記載されています。
体質虚弱な婦人で肩が凝り、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の症状のある次の諸症:
(1)冷え性
(2)虚弱体質
(3)月経不順
(4)月経困難
(5)更年期障害
(6)血の道症
となっております。
月経は、約1ヶ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの出血です。
普通は、25~38日周期で、卵胞期が17.9±6.2日、黄体期が12.7±1.6日とされています。
これに当てはまらない月経が(3)月経不順です。例えば、25日以内に出血を繰り返す頻発月経、月経周期が39日以上3ヶ月以内のものを希発月経、月経・排卵はするけど黄体期が短い黄体機能不全、月経様の出血はあるが排卵が無い無排卵周期症などが(3)の月経不順に当てはまります。
また、周期や出血の量、期間からみて月経とは異なる出血である場合は機能性子宮出血といいますが、これらも月経不順になります。
(4)月経困難とは、月経直前または月経開始とともに、下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛などが強く出現し、日常生活に支障をきたす場合をいいます。
(6)血の道症は「月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性ホルモンの変動に伴って現れる精神不安やイライラなどの精神神経症状および身体症状」です。
全体でみると、女性が経験しやすい症状を幅広くカバーしてくれる漢方薬でであることがわかります。
ただ、漢方薬の場合、東洋医学的な病態とあっていないと、このような症状は改善されません。
次に加味逍遥散にあう東洋医学的な病態について説明していきます。
2.加味逍遥散が改善できる東洋医学的な病態
加味逍遥散を構成する生薬から加味逍遥散が改善できる病態の説明していきます。
加味逍遥散は、当帰、芍薬、白朮、茯苓、柴胡、甘草、生姜、薄荷、牡丹皮、山梔子の10個の生薬で形成されています。
当帰は、お腹を温め外の寒をのぞき血行を良くするものであり、芍薬は筋肉の緊張を弛め血行を良くします。
茯苓は水の上昇を下に引き下げる働きがあり、白朮は水をさばいておしっこからだしてくれます。
これらにより、水が悪さをして起こる、頭痛や動悸やめまいなどを治します。
柴胡は半表半裏の熱をとり、半表半裏に熱がこもることによって起きる症状を取り除きます。
生姜は、胃を温めて働きを高め、甘草は、気を増やします。
薄荷は、熱をとります。
牡丹皮は、内熱をとって、血の滞りを取り除きます。
山梔子は、内熱を去り、胸中のもだえ苦しみをとったり、不眠を治したりします。
これらの生薬から考えると、加味逍遥散は、東洋医学的には、血が不足して、内熱が生じ、さらに、からだに不要な水がだぶついていている病態を改善する漢方薬だと推察できます。
まとめ
加味逍遥散は、漢方の古典「和剤局方」に記載のある逍遥散に牡丹皮と山梔子を加えた(加味した逍遥散=加味逍遥散)非常に歴史のある漢方処方です。
逍遥とは、難しい言葉ですが、ふらふら歩くという意味があり、ふらふらと症状が定まらない時に用いる漢方薬という意味が込められています。
加味逍遥散は、東洋医学的に、血が不足して、内熱が生じ、さらに、からだに不要な水がだぶついていている病態を改善する漢方薬です。
そのような病態を持っている方の(1)冷え性(2)虚弱体質(3)月経不順(4)月経困難(5)更年期障害(6)血の道症にとても効果的です。


