
足のつりは、突然起きて、本当に痛くて辛い症状です。ひどいと、数日間、痛みや違和感が残ったりしてしまうことも。そんな、足のつりにとってもとっても役立つのが芍薬甘草湯です。
でも、漢方薬ってすぐに効くの?長く飲まないと効かないんじゃないの?
漢方薬にそんなイメージを持たれている方も多いと思います。
実は、長く飲むことで症状が改善していく漢方薬もありますし、その時に飲んで症状を改善させる漢方薬もあります。
芍薬甘草湯は、後者の代表とも呼べる即効性の漢方薬です。
今回は、
芍薬甘草湯が本当に足のつりに効くのか?
芍薬甘草湯に即効性がある2つの理由
芍薬甘草湯を活用した足のつりの対策についてまとめました。
足のつりに困っておられる方に、お役立ていただければ幸いです。
目次
1.芍薬甘草湯が本当に足のつりに効くのか?
芍薬甘草湯が本当に足のつりに効くの?という疑問に対してお応えをするために、ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用)の添付文書のを次に記載します。
効能又は効果/用法及び用量
急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛
まさに、足のつりの症状にピッタリの効能効果が記載されています。添付文書に記載のある効能効果は、厚生労働省が認めたものです。国がお墨付きを与えたものと考えてよいです。
2.芍薬甘草湯に即効性がある2つの理由
芍薬甘草湯に即効性がある理由について、こちらについては、漢方薬の処方面から説明していきます。
(1)漢方薬に配合されている生薬の数が少ないものは、即効性がある。
漢方薬は、複数の生薬を組み合わせてできています。
例えば、皆様にも馴染のある葛根湯を例に挙げてみます。
葛根湯は、葛根・麻黄・桂枝・芍薬・甘草・生姜・大棗と7つの生薬を組み合わせてできています。これらの個々の生薬には役割があり、それぞれの役割を担うことで、効能が生まれます。
葛根湯でいうと
桂枝と麻黄で体表を温め、生姜と大棗と甘草で胃を補って発汗力を増します。芍薬は血の巡りを良くして筋肉を弛めてこわばりを取り除きます。
これにより、首筋より背中へかけてのこわばりをとったり、汗はかかないけど、寒気があって熱のある風邪の初期症状を改善したりしてくれます。
このように考えていくと、漢方薬に配合されている生薬の数が少ないと、その働きも限定されてくることが分かります。ピンポイントで働くイメージです。
芍薬甘草湯はどうでしょうか?
芍薬甘草湯は、芍薬と甘草の2つの生薬で構成されています。2つのということは、ピンポイントで働きもシャープになっていきます。
ということで、芍薬甘草湯は、即効性のある漢方薬であることが分かります。
(2)「急迫を治す」働きのある甘草が多く配合されている。
芍薬甘草湯には、名前の通り、甘草という生薬が配合されています。
薬徴という生薬の薬能について記載のある書物には、甘草、主知急迫なり。故に裏急急痛を治し傍ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治する也と記載されています。
急迫とは、せっぱつまった状態。裏急急痛を治すとあるので、まさしく、せっぱつまった急に起きる足の攣り、こむら返りの痛みに効果があることが分かります。
3.芍薬甘草湯を活用した足のつりの対策について
1)起きてしまった時
起きてしまった時は、芍薬甘草湯をすぐに服用して下さい。エキス顆粒のものでしたら、できたら、お湯に溶かして服用してもらうと、より早く効果がでます。
2)頻繁に起きる時
頻繁に起きてしまう方は、事前に芍薬甘草湯を服用しておくのもおすすめの服用方法です。
例えば、運動中に足のつりが起きる方なら、運動前に芍薬甘草湯を1包福与しておくことで、足のつりが起こる頻度を下げることが可能です。寝ている時に起こる方なら、寝る前に1包飲んでおくと発生頻度を下げることが可能です。
ここで注意なのは、芍薬甘草湯は、飲み続けることで、足のつりが起きなくなる漢方薬ではないということです。あくまでも、緊急事態を回避するための漢方薬なので、他の漢方薬のように1日3回毎食前に飲み続けるものではありません。足のつりが起きない体にしていくためには、次の方法おおすすめします。
3)血虚を治す漢方薬で体質改善しながら、必要に応じて芍薬甘草湯を組み合わせる。
傷寒論の弁脈法4条に「血虚すれば筋急なり。」と記載されています。血虚とは、簡単に言えば、血の不足。血虚を改善することが、足のつりの根本原因だと漢方医学では考えます。血虚を治す漢方薬は、数種類あるので、その中から、自分の体にあったものを選んで、服用して血虚を改善することで、足のつりが起こりにくくなります。自分に合った漢方薬を選ぶのは、なかなか難しいので、できましたら漢方薬に精通している医師や薬剤師に相談して服用することをおすすめします。その方が、結果的に早く自分に合った漢方薬に出会え、改善が早くなります。
まとめ
芍薬甘草湯は、芍薬甘草湯ツムラ68(医療用)の添付文書に記載のある通り、急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛に効果のある漢方薬です。芍薬甘草湯は、配合されている生薬が2種類と少なので、働きが限定される分、効き目がシャープとなり、甘草の急迫を治す働きもあり、即効性があります。
ただ、緊急性のある時に用いられる処方なので、飲み続けることで、足のつりが治るという体質改善目的の漢方薬ではありませんので、起きにくくしたいと思われるなら、血虚を治す漢方薬を服用することをおすすめします。


