
「ピルをやめた後も、生理周期を整えていきたい」
「将来の妊娠を考えて、自然な生理周期を目指したい」
このような思いから漢方相談に来局された、29歳女性の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症例をご紹介します。
5年前からニキビや不正出血のためピルを服用されていましたが、将来の妊娠を考えるようになり、ピルをやめたいと考えて相談に来られました。
漢方薬を服用しながらピルを3か月間併用し、その後ピルを終了。
その後は28~32日程度の生理周期が続き、ニキビや不正出血もほとんどみられなくなりました。
その後、体調の変化に合わせて漢方薬を変更しながら相談を継続。
生理周期が一時39~41日になることもありましたが、次第に28~32日程度に落ち着き、約1年10か月後、結婚後にタイミングをとったところ妊娠されました。
※本症例は一例であり、同様の経過や妊娠を保証するものではありません。
この症例は、次のようなお悩みをお持ちの方に参考となる内容です
PCOSと診断され、ピルを長期間服用している
将来妊娠したいのでピルをやめたい
ピルをやめた後の生理周期が心配
PCOSでニキビや不正出血がある
生理前になるとイライラする
生理前に食欲が増える
生理前に便秘になりやすい
PCOSの体質を漢方で整えていきたい
将来の妊娠に向けて体調を整えておきたい
事例の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 29歳・女性 |
| 主なお悩み | 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) |
| 相談のきっかけ | 将来を考え、ピルをやめて自然な生理周期を目指したい |
| ピル服用歴 | 約5年間 |
| ピル服用前の症状 | ニキビ、不正出血、生理前のイライラ・便秘など |
| 生理痛 | なし |
| 相談時の特徴 | 生理前の食欲増加、便秘、汗をかきやすい、排尿回数が多い |
| 漢方相談期間 | 約1年10か月 |
| その後 | 結婚後、タイミングをとったところ妊娠 |
ご相談までの経過
5年前から、ニキビと不正出血が出ることからピルを服用されていました。
ピルを服用している間は、ニキビや不正出血の症状を抑えることができていました。
しかし29歳になり、
「このままピルを飲み続けてよいのだろうか」
「将来は妊娠したい」
「できればピルをやめて、自然な生理周期を目指したい」
と考えるようになり、漢方相談に来局されました。
ちょうどピルが3か月分残っていたため、相談のうえ、まずはその3か月間、ピルと漢方薬を併用しながら体調を整えていくことにしました。
ピルを服用する前のお身体の状態
ピルを服用する前には、次のような症状がありました。
生理前になるとイライラする
生理前に便秘になる
生理前に食欲が増える
精神的なストレスがかかるとニキビができる
不正出血がある
生理痛はない
また、相談時には、
汗をかきやすい
おしっこの回数が多い
便がたまるとコロコロ便になる
食べた分だけ体重が増えるように感じる
生理前に食欲が増える
といった状態も確認しました。
ご提案した漢方相談
お身体の状態を詳しく伺ったうえで、まずは、
「生理前の過剰な食欲」や「便秘」など、現在気になっている体調を整えていくこと
を中心に漢方薬を選びました。
あわせて、自然薬の松寿仙も服用していただくことにしました。
この段階では、ピルをすぐに中止するのではなく、残っている3か月分についてはピルを服用しながら、漢方薬で体調を整えていくことにしました。
2週間後
漢方薬を服用して2週間。
まず変化を感じたのが、お通じでした。
以前よりお通じの調子がよくなり、
「食べた分だけ体重が増えてしまうような感じも以前より気にならなくなった」
とのことでした。
その後も同じ漢方薬を継続していきました。
ピルを飲み切った後、33日目に生理が来る
3か月分のピルを飲み終えた後、ピルを中止。
その後、33日目に生理が来ました。
ピルをやめたことで生理が全く来なくなるのではないかと心配されていましたが、まずは自然な月経が確認できました。
生理前には少しイライラを感じましたが、
「以前ほどひどくない」
とのことでした。
その後は28~32日周期で生理が来るように
その後も漢方相談を続けながら経過を確認していきました。
すると、生理周期は、
28~32日程度
で推移するようになりました。
また、
ニキビがほとんどできなくなった
不正出血がみられなくなった
生理前のイライラが以前ほど強くない
といった変化もみられました。
ピルを中止した後も、生理周期や体調を確認しながら漢方相談を継続しました。
1年以上、同じ漢方薬を継続
その後、1年以上にわたり同じ漢方薬を服用しました。
生理周期も比較的安定していましたが、徐々に、
「生理前になると食欲が増える」
「便秘気味になる」
「ニキビができるようになり、なかなか治らない」
という変化が出てきました。
そこで、その時点でのお身体の状態を改めて確認し、漢方薬を変更しました。
漢方薬を変更した後
漢方薬を変更した後は、一時的に、
39日、41日
と生理周期が長くなることもありました。
そのため、生理周期だけを見て漢方薬を固定するのではなく、その時々のお身体の状態を確認しながら相談を継続しました。
その後、徐々に生理周期が落ち着いていき、
28~32日程度
の周期になることが増えていきました。
そのころに結婚
漢方相談を続けている間に結婚されました。
この時点では、すぐに妊活を始めるというよりも、まずは身体の状態を整えながら経過をみていました。
生理周期も28~32日程度で推移するようになっていました。
1年10か月ほど経ったころ、妊娠
漢方相談を始めてから約1年10か月。
結婚後、
「一度、タイミングをとってみよう」
ということで妊娠を考えることになりました。
そして、タイミングをとったところ、
妊娠されました。
長期間ピルを服用していたこともあり、
「ピルをやめたらどうなるのだろう」
「自然に生理が来るのだろうか」
と心配されていましたが、ピルを終了した後も生理周期を確認しながら漢方相談を継続し、その後、妊娠に至った症例です。
この症例から考えられること
この方の場合、最初から妊娠を目的として漢方薬を服用していたわけではありません。
まずは、
「ピルをやめた後も、できるだけ自然な生理周期を目指したい」
というご希望から相談が始まりました。
そのため、最初から「妊娠のための漢方薬」を決めるのではなく、
生理周期
生理前のイライラ
食欲の変化
便秘
ニキビ
不正出血
体重の変化
その時々の体調
などを確認しながら、その時点のお身体の状態に合わせて漢方薬を見直していきました。
PCOSでは月経周期の異常や排卵障害がみられることがあり、妊娠を希望する場合には、排卵誘発を含めた不妊治療が行われることがあります。日本産科婦人科学会の2025年の治療指針でも、挙児希望の有無によって治療方針を分けています。
今回の症例では、漢方相談を続ける中で生理周期が28~32日程度に落ち着き、その後妊娠に至りました。
ただし、「漢方薬を飲んだから妊娠した」と断定することはできません。
PCOSの経過や妊娠には、排卵の状態、年齢、体重、生活習慣、ストレス、男性側の要因など、さまざまな要素が関係します。
また、PCOSの方が妊娠を希望する場合は、必要に応じて婦人科・不妊専門医療機関と連携しながら進めていくことが大切です。
漢方相談担当者より
── 担当 大島から
この症例では、
「将来妊娠したいから、今のうちから身体を整えておきたい」
というご希望から漢方相談が始まりました。
PCOSの方の場合、生理周期だけを見ていると、どうしても「何日で生理が来たか」という数字に目が向きやすくなります。
しかし、実際の漢方相談では、
「生理前にどうなるのか」
「便通はどうか」
「食欲はどうか」
「ニキビはどうか」
「ストレスがかかったときに体調がどう変化するのか」
など、その方のお身体全体の変化を確認することも大切だと考えています。
この方も、最初から最後まで同じ漢方薬を固定したわけではありません。
お身体の変化に合わせて漢方薬を変更しながら、その時々の状態に合わせて相談を続けました。
そして、結果として生理周期が28~32日程度に落ち着くようになり、結婚後に妊娠されました。
「ピルをやめたいけれど、その後の生理が心配」
「将来妊娠したいので、今から身体を整えておきたい」
という方は、まず現在のお身体の状態を一緒に確認するところから始めています。
※本症例は一例であり、同様の経過や妊娠を保証するものではありません。漢方薬の選択は、体質、症状、生活習慣、服用中のお薬などを総合的に判断して行います。ピルの中止や妊娠を希望する場合は、自己判断せず、処方医・婦人科医にもご相談ください。
よくある質問
PCOSでもピルをやめることはできますか?
PCOSの治療は、妊娠希望の有無や月経周期、症状などによって異なります。
ピルをやめたい場合は、自己判断で中止するのではなく、処方している婦人科の医師に相談しながら進めることが大切です。
ピルをやめたら、すぐに生理は来ますか?
ピルを中止した後の月経の状態には個人差があります。
PCOSではもともと排卵が不規則な方もいるため、ピルを中止した後の生理周期について心配な場合は、婦人科で相談することをおすすめします。
PCOSでも自然妊娠できますか?
PCOSでは排卵が不規則になることがありますが、妊娠できないという意味ではありません。
今回の症例でも、ピルを中止した後に生理周期を確認しながら経過をみて、その後自然妊娠に至りました。
ただし、妊娠のしやすさには個人差があります。
PCOSの漢方相談では、生理周期だけを見ますか?
生理周期だけではなく、
生理前の症状
ニキビ
便秘
食欲
睡眠
ストレス
むくみ
体重の変化
など、全身の状態を確認しながら漢方薬を考えていきます。
ピルを服用しながら漢方相談を受けることはできますか?
服用している薬や目的によって対応が異なります。
今回の症例では、残っていたピルを3か月間服用しながら漢方相談を行いました。
実際に併用する場合は、現在服用している薬を確認したうえで、医師・薬剤師などにご相談ください。
PCOSで将来妊娠したい場合、いつから身体を整えればよいですか?
「妊娠を考え始めたとき」だけでなく、その前から生活習慣や体調を見直しておくことも一つの方法です。
ただし、PCOSで妊娠を希望する場合は、漢方だけに頼るのではなく、必要に応じて婦人科で排卵の状態などを確認することも大切です。
まとめ
今回の29歳女性は、ニキビや不正出血をきっかけに約5年間ピルを服用していました。
将来の妊娠を考え、
「ピルをやめて、自然な生理周期を目指したい」
という希望から漢方相談を開始。
ピルを3か月間服用しながら漢方薬を併用し、その後ピルを終了しました。
その後、
生理周期が28~32日程度に
ニキビがほとんど気にならなくなった
不正出血がみられなくなった
生理前のイライラが軽減
便通の状態も改善
などの変化がみられました。
途中で生理周期が39~41日になることもありましたが、その後徐々に落ち着き、28~32日程度の周期で推移。
結婚後、約1年10か月が経ったころにタイミングをとり、妊娠されました。
「将来妊娠したいけれど、今はまだ妊活を始める段階ではない」
「ピルをやめた後の生理周期が心配」
というPCOSの方にとって、一つの参考となる症例です。
※本症例は一例であり、漢方薬による同様の経過や妊娠を保証するものではありません。

