
柴胡桂枝湯について詳しく知りたいあなた。
柴胡桂枝湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」「金匱要略」に記載のある非常に歴史ある漢方薬です。
ツムラ柴胡桂枝湯の添付文書には、発熱汗出て、悪寒し、身体痛み、頭痛、はきけのあるものの次の諸症:感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛の効能効果が記載されています。
ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。
それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、柴胡桂枝湯について詳しく知りたい方に向けて
・柴胡桂枝湯の代表的な効果について
・柴胡桂枝湯は東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのか
ついて紹介していきます。
自分に合った漢方薬を選ぶことは、とても難しいことです。
ただ、自分に合った漢方薬と出会った場合、中々治らなかった辛い症状が、嘘みたいに治ることがあります。
自分に合う漢方薬に出会い、辛い症状を改善されることを心から願っております。
目次
1.柴胡桂枝湯の代表的な効果について
1)ツムラ柴胡桂枝湯(一般用医薬)の添付文書には以下のように記載されています。
体力中等度又はやや虚弱で、多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・はきけなどのあるものの次の諸症:
胃腸炎、かぜの中期から後期の症状
2)ツムラ10柴胡桂枝湯(医療用)の添付文書には以下のように記載されています。
発熱汗出て、悪寒し、身体痛み、頭痛、はきけのあるものの次の諸症:感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛
ただ、漢方薬の効能効果の記載で注意しなければならない点があります。
それは、西洋医学の病名が当てはまる方に、すべて合うわけではないということです。
そこで、次に柴胡桂枝湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかについて説明させていただきます。
2.柴胡桂枝湯は東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのか
柴胡桂枝湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかを知るために、傷寒論に記載のある柴胡桂枝湯の条文をご紹介させていただきます。
漢方の古典には、「~のような時には、この漢方薬が効きます。」と記載されているからです。
1)傷寒論にある記載にある柴胡桂枝湯の条文
傷寒論太陽病中編 19条
傷寒にかかって6、7日になって、発熱と少し寒気があり、両手両足が痛み、少し吐き気があり、心窩部に物が痞えてすっきりしない、発熱や悪寒などの症状が去らない者は、柴胡桂枝湯が主治します。
金匱要略 腹満寒疝宿食病 23条
突然に胸腹部が痛む者を治す。
これらの条文を読むと、添付文書の効能効果の記載の内容と一致することがよくわかります。
2)柴胡桂枝湯を構成する生薬
柴胡桂枝湯
桂枝 (辛・温)3.0
黄ゴン(苦・平)3.0
人参 (甘・微寒)1.5
甘草 (甘・平)1.0
半夏 (辛・平)2.5
芍薬 (苦・平)1.5
大棗 (甘・平)2.0
生姜 (辛・温)1.5
柴胡 (苦・平)4.0
柴胡桂枝湯は、温める(温)生薬が2つ、温めも冷やしもしない生薬(平)が6つ、少し冷やす生薬が1つで構成されています。
このことから、柴胡桂枝湯は、温めて陽気を発散させる働きが少しだけあることが分かります。
小柴胡湯に芍薬と桂枝が加わった処方と考えることができます。半夏、人参、甘草、大棗、生姜で脾胃を整えて、柴胡と黄ゴンで熱をとります。芍薬は、筋肉の血行をよくして、痛みをとり、桂枝は陽気を発散させて、発熱やだるさや寒気を取り除きます。
まとめ
柴胡桂枝湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」「金匱要略」に記載のある非常に歴史ある漢方薬です。
感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛に用いられます。
小柴胡湯に芍薬と桂枝が加わった処方と考えることができます。半夏、人参、甘草、大棗、生姜で脾胃を整えて、柴胡と黄ゴンで熱をとります。芍薬は、筋肉の血行をよくして、痛みをとり、桂枝は陽気を発散させて、発熱やだるさや寒気を取り除きます。


