
病院や漢方薬局で五苓散を処方されて頑張って服用しているあなた。
あるいは五苓散の効能効果を見て、自分に合っていそうだと思い、服用しているあなた。「五苓散を飲み始めたら何となく便秘するような気がする。」
「いや明らかに便秘になった。」
そう感じていませんか?この記事では、そのように思われた方に向けて
・五苓散を服用すると本当に便秘になるのか?
・五苓散を服用して便秘になった際の対処法
についてご紹介していきます。
体調を良くするために服用している漢方薬で便秘になることは、良いことではありません。
便秘になる理由と対処法を把握して、正しい行動を起こしていきましょう。
目次
1.市販の五苓散の注意事項・副作用を確認すると便秘の副作用は記載なし。
市販されている五苓散の注意事項を以下に記します。
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなります)
次の人は服用しないでください
生後3カ月未満の乳児
相談すること
次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
(1)医師の治療を受けている人
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人
(3)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人
服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
皮膚 発疹・発赤 かゆみ
1カ月位(急性胃腸炎、二日酔に服用する場合には5~6回、水様性下痢、暑気あたりに服用する場合には5~6日間)服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
これを見る限り、一般的に五苓散を服用して便秘が起きることはあまりないようです。
2.医師より処方される当帰芍薬散の使用上の注意でも便秘の記載はない。
医師より処方される医療用医薬品の添付文書に記載されている五苓散の注意事項を以下に記します。
【使用上の注意】
1.重要な基本的注意
(1)本剤の使用にあたっては、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。なお、経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には、継続投与を避けること。
(2)他の漢方製剤等を併用する場合は、含有生薬の重複に注意すること。
2.副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度は不明である。
頻度不明
過敏症・・・発疹、発赤、掻痒等
肝臓・・・肝機能異常(AST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTP等の上昇)
ここからも、便秘の副作用の記載はありません。
3.五苓散を構成する生薬から考えると、可能性は考えられる。
五苓散は、猪苓(ちょれい)・沢瀉(たくしゃ)・茯苓(ぶくりょう)桂枝(けいし)・白朮(びゃくじゅつ)の5つの生薬で構成されています。
猪苓(ちょれい)と沢瀉(たくしゃ)で膀胱系の熱をとり、小便の出を良くします。茯苓(ぶくりょう)と白朮(びゃくじゅつ)は、胃内の余分な水を除き、桂枝(けいし)は票の陽気を補って、頭痛をとったり、小便の出る勢いを強くします。これによって、体内の水の偏在を解消し、余分な水を小便で取り除いてくれます。
白朮は、小便と大便の水分の調節を行う生薬です。五苓散は、もともとおしっこの回数が少なく、下痢に用いることも多い漢方薬です。この白朮の働きにより、下痢でお通じより出していた水分を本来のおしっこで出すようにしてくれます。もし、「体内にだぶついた水分があり、うまくおしっこから排出されないような状態」がない方が五苓散を服用した場合、ひょっとしたら、便秘になる可能性があるかもしれません。また、五苓散でそのような状態が改善されたのに、飲み続けると、ひょっとしたら便秘になる可能性があるのかもしれません。
4.五苓散が便秘の原因だと思われる際の対処法
まずは、五苓散の服用を試しに数日お休みしてみてください。数日中止して、お通じがもとにもどるようでしたら、五苓散が便秘の原因である可能性があります。そして、五苓散が今のあなたのお体にピッタリの漢方薬ではない可能性があります。
1)医師や薬剤師に相談して服用している場合
その経過を含めて説明し、他の漢方薬に切り替えてもらう様にお願いしてみてください。
2)ご自身で五苓散を選んで、服用している場合
他の処方を選ばれた方が良いと思いますので、医師や薬剤師に相談したうえで、漢方薬を選んでもらうようにした方が良いでしょう。
5.まとめ
市販の注意書きや医療用の添付文書からも五苓散で便秘になるとの記載はありません。このことから、一般的に五苓散を服用して便秘になるケースはないようです。
ただし、五苓散の生薬から考えると、五苓散があうタイプでない方が五苓散を服用した場合、ひょっとしたら、便秘になる可能性があるかもしれません。
五苓散が便秘の原因だと考えられる場合は、五苓散の服用を試しに数日お休みしてみてください。数日中止して、お通じがもとにもどるようでしたら、五苓散が便秘の原因である可能性があります。
そして、五苓散があなたにピッタリの漢方薬ではない可能性がありますので、他の漢方薬への変更を検討してみてください。


