
補中益気湯が更年期に良いと聞いたあなた。
確かに、補中益気湯は、更年期障害に用いられる漢方薬です。ただ、補中益気湯は、更年期障害に万能ではありません。
漢方薬の効果にはある特徴があります。それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
今回、更年期障害に補中益気湯を飲んでみたいという方に向けて
- 補中益気湯で改善できる東洋医学的な病態とは?
- 補中益気湯で改善が期待できる代表的な更年期症状5つ
についてご紹介させていただきます。
補中益気湯で改善できる東洋医学的な病態とは?
補中益気湯は、黄耆、人参、白朮、当帰、大棗、柴胡、陳皮、甘草、升麻、生姜の10個の生薬で構成されています。それぞれの生薬の働きを理解できると、補中益気湯のあう東洋医学的な病態がわかってきます。
人参は、血や津液を多くして、胃の陽気を高めます。白朮は、胃の湿気を取り除きます。生姜は、胃を温め、胃の陽気を作ります。人参と白朮と生姜で、胃の機能を低下させる湿を除き、胃の機能を高めます。
甘草は、その胃の状態をキープさせるために用いられ、黄耆は、胃の機能を高めることで生まれた気を体表に行きわたらせ、体表を守り、胃の陽気を外に漏らさないようにします。陳皮は、人参・白朮・甘草・黄耆で作られた胃の気を胃の中に巡らせる働きがあります。当帰と大棗は、血を多くする働きがあり、これは、気を作るときに血が必要なので、配合されています。柴胡と升麻は、つえを取り除き、胃の陽気を広く巡らせるために配合されています。
以上より、補中益気湯は、水を飲むと胃が重たくなり食欲がなく、そして、後向きの考えをもちやすい傾向があり、もやもやして過ごして、元気のないような病態を改善してくれます。
さらに、白朮が配合されていますので、水分を多く摂取している方、生姜が配合されているので冷飲食で胃を冷やす傾向のある方、黄耆が入っているので汗っかきで、汗をかくと疲れるような傾向があります。それに当帰や大棗が入っているので、胃が丈夫でなく、食事が肉や魚よりあっさりの炭水化物が多く傾向のある方、柴胡が配合されているので、気の痞えがあり、くよくよ考え込む傾向がある方に合います。
補中益気湯で改善が期待できる代表的な更年期症状5つ
補中益気湯は、
- 食欲がない
- 気分が後ろ向き
- 汗をかきやすく汗をかくと疲れる
- 手や足の倦怠感がある
- 言葉数が少ない
という5つの更年期症状のうち3つ以上当てはまる方に服用をおすすめします。この5つは、補中益気湯で改善できる東洋医学的な病態のお持ちの方の代表的な自覚症状です。
まとめ
補中益気湯は、更年期障害に用いられる漢方薬です。
ただ、補中益気湯は、更年期障害に万能ではありません。補中益気湯は、水を飲むと胃が重たくなり食欲がなく、そして、後向きの考えをもちやすい傾向があり、もやもやして過ごして、元気のないような病態を改善してくれます。
補中益気湯は、
- 食欲がない
- 気分が後ろ向き
- 汗をかきやすく汗をかくと疲れる
- 手や足の倦怠感がある
- 言葉数が少ない
という5つの更年期症状のうち3つ以上当てはまる方に服用をおすすめします。


