
補中益気湯について詳しく知りたいあなた。
補中益気湯は、中国の李東垣(1180~1251)が生み出した処方で、中焦(胃腸)を補い【補中】元気を益す(増やす)【益気】という意味が込められています。
ツムラ補中益気湯の添付文書には、夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振 、胃下垂、感冒、痔 、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症の12の効能効果が記載されています。
12も!と驚かれたかもしれません。
ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。 それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、補中益気湯がどのような漢方薬か知りたい方に向けて
・補中益気湯12の効果
・補中益気湯で改善できる東洋医学的な病態とは?
ついて紹介していきます。
自分に合った漢方薬を選ぶことは、とても難しいことです。ただ、自分に合った漢方薬と出会った場合、中々治らなかった辛い症状が、嘘みたいに治ることがあります。
自分に合う漢方薬に出会い、辛い症状を改善されることを心から願っております。
1.補中益気湯の12の効果
補中益気湯の添付文書には、以下の様に記載されています。
消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症
(1)夏やせ
(2)病後の体力増強
(3)結核症
(4)食欲不振
(5)胃下垂
(6)感冒
(7)痔
(8)脱肛
(9)子宮下垂
(10)陰萎
(11)半身不随
(12)多汗症
(1)~(12)の症状は、補中益気湯のことが記載されている書物から引用した効果です。これらの症状は、大昔から補中益気湯を使用し、改善してきた代表的な症状ということになります。
2 補中益気湯で改善できる東洋医学的な病態とは?
補中益気湯は、黄耆、人参、白朮、当帰、大棗、柴胡、陳皮、甘草、升麻、生姜の10個の生薬で構成されています。それぞれの生薬の働きを理解できると、補中益気湯のあう東洋医学的な病態がわかってきます。
人参は、血や津液を多くして、胃の陽気を高めます。
白朮は、胃の湿気を取り除きます。
生姜は、胃を温め、胃の陽気を作ります。
人参と白朮と生姜で、胃の機能を低下させる湿を除き、胃の機能を高めます。
甘草は、その胃の状態をキープさせるために用いられ、黄耆は、胃の機能を高めることで生まれた気を体表に行きわたらせ、体表を守り、胃の陽気を外に漏らさないようにします。
陳皮は、胃の気を胃の中に巡らせる働きがあります。
当帰と大棗は、血を多くする働きがあり、これは、気を作るときに血が必要なので、配合されています。
柴胡と升麻は、つかえを取り除き、胃の陽気を広く巡られるために配合されています。
以上より、補中益気湯は、
水を飲むと胃が重たくなり食欲がなく、そして、後向きの考えをもちやすい傾向があり、もやもやして過ごして、元気のないような病態を改善してくれます。
さらに、
白朮が配合されていますので、水分を多く摂取している方、生姜が配合されているので冷飲食で胃を冷やす傾向のある方、黄耆が配合されているので汗っかきで、汗をかくと疲れるような傾向があります。
それに当帰や大棗が入っているので、胃が丈夫でなく、食事が肉や魚よりあっさりの炭水化物が多く傾向のある方、柴胡が配合されているので、気の痞えがあり、くよくよ考え込む傾向がある方にあいます。
ただ、自分に合った漢方薬を選ぶのは、とても難しいです。
漢方に詳しい薬剤師や医師に相談したほうが、結果的に自分に合う漢方に早く出会うことができることも多くありますので、相談して漢方薬を服用されるのをおすすめします。
まとめ
補中益気湯は、消化機能が低下して、元気の出ない方に有効な漢方薬です。
夏バテに多く用いられます。
ただ、もともと胃腸の弱い傾向の方に合いますので、食欲旺盛の方には、不向きです。


