
大建中湯は、漢方の古典「金匱要略:腹満寒仙宿食病」に記載のある非常に歴史のある漢方処方です。
実際、多くの方々が、大建中湯を服用して便秘を改善されたりしています。ただ、漢方薬には証と言って合うタイプ合わないタイプがあります。合わないタイプの方が服用するとその効果を実感できません。
大建中湯は、
- お腹が冷えて痛い
- お腹が張って苦しい
- お腹を触ると冷たい
- 食欲はあまりない
- 手足が冷える
という5つの自覚症状を持っている方にピッタリの漢方薬です。それは、金匱要略に記載のある条文、漢方薬のパッケージに記載のある効能、ならびに大建中湯を構成している生薬から判断できます。
本記事では、大建中湯を服用しても便秘が改善されないあなたに向けて
- 大建中湯の合うタイプの方が自覚している5つの症状とその理由
- 大建中湯を服用しても便秘が改善されない時に取るべき行動
についてご紹介していきます。
目次
大建中湯が合うタイプの方が自覚している5つの症状とその理由
大建中湯は、
- お腹が冷えて痛い
- お腹が張って苦しい
- お腹を触ると冷たい
- 食欲はあまりない
- 手足が冷える
の5つの自覚症状をお持ちの方にピッタリの漢方薬です。その理由を金匱要略に記載のある条文、漢方薬のパッケージに記載のある効能、ならびに大建中湯を構成している生薬から説明していきます。
大建中湯の原典「金匱要略:腹満寒仙宿食病」に記載のある条文をチェック
大建中湯の合うタイプかどうかを判断するために、大建中湯の記載のある原典「金匱要略」の条文を確認してみます。金匱要略には、色々な病気別に「~のような症状には~という漢方薬が良いよ」という感じで漢方薬が紹介されています。
大建中湯は、金匱要略には、
胸の下部のほうが冷えて痛んで、嘔気がして飲食できず、腹の中が冷えて、お腹の中から皮膚の表面の方へ突き出したようになり、腹中に何か生物でもいて、それが動き、その頭や足がお腹の皮膚の方へ出たり引っ込んだりするように感じたり、腹痛のためにお腹に手を触れることができないような場合に、大建中湯が主治します。
となっております。お腹の中から皮膚の表面の方へ突き出したようになりとは、ガスが溜まってお腹が張っている様子と考えることができます。腹痛も、かなり強い腹痛のように表現されています。
パッケージ記載の大建中湯の効能をチェック
次は、大建中湯の効能を確認してみます。なぜ効能効果を確認するかと言いますと、漢方薬の効能には、どのようなタイプの方に合いますよ!という形式で記載されているからです。
大建中湯の効能には、
腹壁胃腸弛緩し、腹中に冷感を覚え、嘔吐、腹部膨満感があり、腸の蠕動亢進と共に、腹痛の甚だしいもの。胃下垂、胃アトニー、弛緩性下痢、弛緩性便秘、慢性腹膜炎、腹痛。
となっております。
大建中湯を構成する生薬をチェック
次は、大建中湯に配合されている生薬をみていきます。
大建中湯は、蜀椒・人参・乾姜・膠飴の4つの生薬で構成されています。この生薬の働きをひとつひとつみていくことで、大建中湯のあう病態が分かってきます。
蜀椒(しょくしょう)
蜀椒(しょくしょう)は、山椒(さんしょ)の柄と黒色の種子を除いたもので、辛く温める生薬で、お腹を温めて腹痛を治してくれます。
乾姜(かんきょう)
乾姜(かんきょう)は、生姜の根を湯通しして干したもので、辛く温める生薬で、身体の内部の深いところを温めて、腸の動きを正常化します。
人参(にんじん)
人参(にんじん)は、甘く少し冷やす生薬で、胃腸や膵臓の働きをよくして、体全体の内臓の働きを良くしていきます。
膠飴(こうい)
膠飴(こうい)は、水飴で、甘くて温める生薬で、特に脾胃(胃や膵臓)に元気をつけて、体を元気にします。また。お腹の痛いのを治します。甘味は、心を助けますので、心臓のポンプの働きを助けて血行をよくします。
すべての生薬を合わせて考えてみると
蜀椒と乾姜で、お腹を温め、膠飴で脾胃に元気を付けて、人参で胃腸の機能を高めて、腹痛とともに腸の動きを正常化していきます。
生薬から考えられる大建中湯があう病態とは
蜀椒と乾姜が配合されていますので、腸に冷えがあります。その冷えも、かなり強い冷えと言えます。その冷えが原因で、お腹が張ったり、痛くなったりする病態の時に大建中湯は威力を発揮します。
以上より、大建中湯の合うタイプの方が自覚している5つの症状についてわかっていただけると思います。
大建中湯を服用しても便秘が改善されない時に取るべき行動
大建中湯を服用しても便秘が改善されない時は、上の5つの自覚症状をチェックしてみてください。すべてではなくてもいくつか当てはまる場合は、大建中湯が合う可能性があります。その場合は、お湯に溶かして服用し、その後にお粥をすすると良いかもしれません。それは、~湯は、煎じ薬ですので、エキス顆粒製剤でもお湯に溶かして服用することで、より大建中湯の効果を引き出すことができるからです。
さらに、大建中湯は、薬を服用してから30分くらいしてから茶碗1杯くらいの温かいお粥を飲むのがより効果的な服用方法です。これは、先ほどご紹介した「金匱要略」に記載されています温かいお粥で胃を温めてお腹の冷えを汗として追い出すためです。そして、「大建中湯を服用中は、お粥かまたは極めて柔らかいご飯を食して下さい。」と注意書きが記載されています。
5つの自覚症状に当てはまらない場合は、大建中湯の効くお腹の冷えて起こる便秘でない可能性が高いですので、例えば大黄の入っている漢方薬を服用された方が良いです。
まとめ
大建中湯は、漢方の古典「金匱要略:腹満寒仙宿食病」に記載のある非常に歴史のある漢方処方です。実際、多くの方々が、大建中湯を服用して便秘を改善されたりしています。
ただ、漢方薬には証と言って合うタイプ合わないタイプがあります。大建中湯は、
- お腹が冷えて痛い
- お腹が張って苦しい
- お腹を触ると冷たい
- 食欲はあまりない
- 手足が冷える
という自覚症状のある方にピッタリの漢方薬です。
すべてではなくてもいくつか当てはまる場合は、大建中湯が合う可能性があります。その場合は、お湯に溶かして服用し、その後にお粥をすすると便秘が改善される可能性があります。
これに全く当てはまらない場合は、大建中湯の効くお腹の冷えて起こる便秘ではりませんので、ほかの漢方薬をおすすめします。


