
大建中湯で痩せるのか。
結論から言うとその可能性はあります。
大建中湯が腸の冷えを改善し、腸の動きを良くして便通を整える漢方薬だからです。腸が活発に動けばエネルギーも消費されますし、お通じがよくなれば老廃物も排泄されやすくなります。
ただし、すべての人に当てはまるわけではありません。漢方薬には証というものがあり、合うタイプ合わないタイプがあるからです。
そこで、今回は、
- 大建中湯で痩せると考えられるメカニズム
- 痩せる効果を実感できる可能性のある大建中湯が合うタイプ
についてまとめました。
大建中湯で痩せると考えられるメカニズム
ラットの腸管を摘出して、37度の実験的栄養液に浸した状態で、大建中湯抽出液を加えると腸管が強く収縮するという実験結果があります。
この結果から、大建中湯には、腸管運動促進作用があります。腸が活発に動けばエネルギーも消費されますし、お通じがよくなれば老廃物も排泄されやすくなります。
痩せる効果を実感できる可能性のある大建中湯が合うタイプ
漢方薬には、証というものがあり、すべての人に同じような効果をもたらすことはありません。逆に合わない方が服用すると、悪化することもありますので注意が必要です。大建中湯が合うタイプを知るために、まず、効能効果について記載します。
大建中湯の効能効果(説明書きより)
大建中湯の効能
腹壁胃腸弛緩し、腹中に冷感を覚え、嘔吐、腹部膨満感があり、腸の蠕動亢進と共に、腹痛の甚だしいもの。胃下垂、胃アトニー、弛緩性下痢、弛緩性便秘、慢性腹膜炎、腹痛。
このような症状を改善する働きがあるので、このような症状があって、痩せたいと思っておられる方で、大建中湯が合う病態をお持ちの方なら大建中湯で痩せる可能性があります。
次に大建中湯があう病態について紹介します。
大建中湯が合う方の病態とは?
大建中湯が合う病態は、「金匱要略」という大建中湯の記載のある漢方書と大建中湯に配合されている生薬から判断できます。
大建中湯の出典である「金匱要略」には・・・
金匱要略には、「胸の下部のほうが冷えて痛んで、嘔気がして飲食できず、腹の中が冷えて、お腹の中から皮膚の表面の方へ突き出したようになり、腹中に何か生物でもいて、それが動き、その頭や足がお腹の皮膚の方へ出たり引っ込んだりするように感じたり、腹痛のためにお腹に手を触れることができないような場合に、大建中湯が主治します。
このような症状がある方は、大建中湯が合うタイプです。
次は、大建中湯に配合されている生薬をみていきます。
大建中湯は、蜀椒・人参・乾姜・膠飴の4つの生薬で構成されています
大建中湯は、4つの生薬から構成されています。この生薬の働きをひとつひとつみていくことで、大建中湯のあう病態が分かってきます。
蜀椒(しょくしょう)
蜀椒(しょくしょう)は、山椒(さんしょ)の柄と黒色の種子を除いたもので、辛く温める生薬で、お腹を温めて腹痛を治してくれます。
乾姜(かんきょう)
乾姜(かんきょう)は、生姜の根を湯通しして干したもので、辛く温める生薬で、身体の内部の深いところを温めて、腸の動きを正常化します。
人参(にんじん)
人参(にんじん)は、甘く少し冷やす生薬で、胃腸や膵臓の働きをよくして、体全体の内臓の働きを良くしていきます。
膠飴(こうい)
膠飴(こうい)は、水飴で、甘くて温める生薬で、特に脾胃(胃や膵臓)に元気をつけて、体を元気にします。また、お腹の痛いのを治します。甘味は、心を助けますので、心臓のポンプの働きを助けて血行をよくします。
すべての生薬を合わせて考えてみると
蜀椒と乾姜で、お腹を温め、膠飴で脾胃に元気を付けて、人参で胃腸の機能を高めて、腹痛とともに腸の動きを正常化していきます。
生薬から考えられる大建中湯があう病態とは
蜀椒と乾姜が配合されていますので、腸に冷えがあります。その冷えも、かなり強い冷えと言えます。その冷えが原因で、お腹が張ったり、痛くなったりする病態の時に大建中湯は威力を発揮します。
まとめ
大建中湯を服用すると痩せる可能性はあります。ただ、タイプが合わないと効果は実感できません。大建中湯は、腸に冷えがあり、お腹が張ったり、痛くなったりする人にピッタリです。
蜀椒と乾姜が入っているので、お腹が冷えていないと余計熱を持たせてしまうので、反ってお通じが悪くなることもあります。


