
茵蔯五苓散について詳しく知りたいあなた。
茵蔯五苓散は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「金匱要略」に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。ツムラ茵蔯五苓散エキス顆粒(医療用)の添付文書には、のどが渇いて、尿が少ないものの次の諸症:嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみの4つもの効能効果が記載されています。
ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、当帰芍薬散がどのような漢方薬か知りたい方に向けて
- 茵蔯五苓散の4つの効能効果
- 茵蔯五苓散で改善できる東洋医学的な病態とは?
- 茵蔯五苓散の合う人が感じている自覚症状
について紹介していきます。
自分に合った漢方薬を選ぶことは、とても難しいことです。ただ、自分に合った漢方薬と出会った場合、中々治らなかった辛い症状が、嘘みたいに治ることがあります。自分に合う漢方薬に出会い、辛い症状を改善されることを心から願っております。
目次
茵蔯五苓散の4つの効能効果
ツムラ茵蔯五苓散エキス顆粒(医療用)の添付文書には、のどが渇いて、尿が少ないものの次の諸症:嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみの4つの効能効果が記載されています。1つのお薬に4つもの効果があることが分かります。
ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
続いてどのようなタイプの人にこのような効果が現れるかをお伝えするため茵蔯五苓散で改善できる東洋医学的な病態について説明します。
茵蔯五苓散で改善できる東洋医学的な病態について
金匱要略に記載のある茵蔯五苓散の条文から考えられる東洋医学的な病態
茵蔯五苓散は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「金匱要略」に記載のある漢方薬です。茵蔯五苓散がどのような東洋医学的な病態の人に合うかどうかは、「金匱要略」の中にある茵蔯五苓散の条文から推測できます。金匱要略では、色々な病気別に「~のような症状には~という漢方薬が良いよ」という感じで漢方薬が紹介されています。
金匱要略「黄疸病編15条」
茵蔯五苓散は、
黄疸病、茵蔯五苓散之を主る
とあります。とってもシンプルな記載となっております。
黄疸病についての説明は、黄疸病編の第1条に記載があります。
脈が浮いていて緩やかであるものは、黄疸の脈である。浮いているのは風に当てられたためであり、緩やかな脈は、気の働きが鈍ったからである。手足がほてって苦しくなり、脾の色は必ず黄色である。それは体内の内で熱がうっ滞して、それが巡っているためである。
脾の色の脾とは、東洋医学でいう脾という臓器のことで、五行と言う考え方で、脾と肌肉は関係が深いと考えるので、脾の色は必ず黄色とは、肌肉が黄色であるというふうに解釈できます。肌肉に熱がうっ滞している状態が黄疸病です。
この状態の時に、茵蔯五苓散が用いられるということなので、茵蔯五苓散は、肌肉に熱が鬱滞している時に用いられることが分かります。
茵蔯五苓散に配合されている生薬から考えられる病態
次に茵蔯五苓散に配合されている生薬からどのような東洋医学的な病態に用いられるかを説明していきます。
茵蔯五苓散
- 五苓散 5g
- 茵蔯蒿末(苦・平)10g
五苓散5gに茵蔯蒿末10gを混和した漢方薬であることが分かります。
茵蔯蒿の味は、苦く、温めも冷やしもしない生薬です。苦い生薬は、陰気(潤いの気)を補いますが、特に茵蔯蒿の場合は、陰気により皮中の鬱熱をとってくれます。皮中に鬱熱があり発散できない時は、皮膚が黄色になる(黄疸)が現れることがあるのですが、それを茵蔯蒿がとってくれます。
茵蔯蒿に五苓散が配合されている茵蔯五苓散は、五苓散の病態が合わさっています。つまり、皮膚の鬱熱が、五苓散の病態である胃に虚熱が生まれて、体内の水分が均等に巡らないために起きた場合に、茵蔯五苓散が威力を発揮します。
茵蔯五苓散の条文と茵蔯五苓散の配合されている生薬から茵蔯五苓散の効果を発揮する病態を考えてきましたが、どちらも共通していることが分かっていただけると思います。この病態を持っていないと、茵蔯五苓散は、効かないということになります。
茵蔯五苓散の合う人が感じている代表的な5つの自覚症状
1と2から茵蔯五苓散の合う人が感じている代表的な5つの自覚症状についてまとめます。
茵蔯五苓散は、
- 口が乾いている
- おしっこが少ない
- 皮膚が黄色っぽい
- 皮膚に痒みや赤みがある
- 手足が温かい
の症状のある人にピッタリです。
1.と2.は、添付文書に記載があり、3.と4.は、鬱熱の症状であり、5.は、黄疸病の人の自覚症状であるところから分かります。
まとめ
茵蔯五苓散は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「金匱要略」に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。ツムラ茵蔯五苓散エキス顆粒(医療用)の添付文書には、のどが渇いて、尿が少ないものの次の諸症:嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみの4つもの効能効果が記載されています。
茵蔯五苓散は、肌肉に熱が鬱滞している時に用いられる漢方薬です。
皮膚の鬱熱が、五苓散の病態である胃に虚熱が生まれて、体内の水分が均等に巡らないために起きた場合に、茵蔯五苓散が威力を発揮します。これ以外の病態の人には、効果がでませんので、別の漢方薬を考慮する必要があります。
茵蔯五苓散は、
- 口が乾いている
- おしっこが少ない
- 皮膚が黄色っぽい
- 皮膚に痒みや赤みがある
- 手足が温かい
の症状のある人にピッタリです。


