
麻黄湯について詳しく知りたいあなた。
麻黄湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。ツムラ麻黄湯(医療用)の添付文書には、悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないものの次の諸症:感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難という6つの効能効果が記載されています。
6つもと驚かれたかもしれません。ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。
それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、麻黄湯がどのような漢方薬か知りたい方に向けて
- 麻黄湯の6の効能効果
- 麻黄湯で改善できる東洋医学的な病態とは?
について紹介していきます。
自分に合った漢方薬を選ぶことは、とても難しいことです。ただ、自分に合った漢方薬と出会った場合、中々治らなかった辛い症状が、嘘みたいに治ることがあります。自分に合う漢方薬に出会い、辛い症状を改善されることを心から願っております。
麻黄湯の6の効能効果
ツムラ27麻黄湯(医療用)の添付文書によると、
悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないものの次の諸症:感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難
となっております。
麻黄湯で改善できる東洋医学的な病態について
漢方の古典「傷寒論:太陽病編」に麻黄湯についての記載のある条文、麻黄湯を構成する生薬から麻黄湯が改善できる病態を説明していきます。
傷寒論に記載のある麻黄湯の条文
傷寒論に麻黄湯が記載されている代表的な条文をご紹介させていただきます。
太陽病中編第5条
太陽病、頭痛発熱、身疼腰痛 骨節疼痛 悪風 汗無くして喘する者は麻黄湯之を主る
太陽病で、頭痛、発熱、身体が痛み、腰痛、関節の痛みがあり、寒気、汗はでなくて、咳の出る人は、麻黄湯が主治します。太陽病は、頭痛や肩の凝りや寒気がある状態のことです。麻黄湯は、汗がでていないこと、関節の痛みは、体のいたるところである場合が多いです。
傷寒論以外に、14代将軍・徳川家茂の侍医であった尾台榕堂(おだいようどう 1799~1870年)先生の著書『類聚方広義』(るいじゅほうこうぎ)の麻黄湯の記載をご紹介させていただきます。
初生児の時々、発熱あり、鼻が塞がって通せず、哺乳することができない者は、麻黄湯を用いるとすぐに治る。
麻黄湯の効果にある乳児の鼻閉塞、哺乳困難は、この書籍を参考にしているのではないかと推測します。
麻黄湯を構成する生薬
麻黄湯
- 麻黄 (苦・温) 3.0g
- 杏仁 (甘・温) 3.0g
- 桂枝 (辛・温) 2.0g
- 甘草 (甘・平) 1.0g
麻黄が血を巡らす栄気を補います。桂枝は体表を巡っている衛気を補います。杏仁と甘草は、麻黄と桂枝の働きを助け、気血の巡りをよくします。
麻黄湯は、血に寒が入ってしまった時に、麻黄で血を温め、桂枝で体表の気を補い、寒を汗で追い出す漢方薬であることが分かります。
体を冷やしてしまい、寒気がして、発熱する様な病態の時に効果的であることが、漢方薬を構成する生薬から推測できます。
1-1の傷寒論の条文と同じ状態であることが分かると思います。
まとめ
麻黄湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「傷寒論」に記載のある非常に歴史のある漢方薬です。
麻黄湯は、感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難の効能があります。
ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、いくつもの症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、一つも症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。麻黄湯は、風邪の引き初めで、寒気があって、関節がいたくなり、咳がでているような状態に合う漢方薬です。
汗はでていないのがとても重要なポイントで、汗が出ていたら麻黄湯は合いません。


