
当帰芍薬散は、漢方の古典「金匱要略:婦人雑病編」に記載のある非常に歴史のある漢方処方です。実際、多くのPMSの方々が、当帰芍薬散を服用して症状が改善しています。
当帰芍薬散は、
1)冷え性である
2)生理痛・腹痛がある
3)貧血・生理の量が少ない
4)むくみがある
5)疲れやすい
という5つの自覚症状を持っている方にピッタリの漢方薬です。
それは、当帰芍薬散の原典「金匱要略:婦人雑病編」に記載のある条文、漢方薬のパッケージに記載のある効能、ならびに当帰芍薬散を構成している生薬から判断できます。
本記事では、PMSでドクターから当帰芍薬散を処方されたあなた、あるいは、PMSに当帰芍薬散が良いと聞いて、どのような漢方薬か知りたくなったあなたに向けて
・当帰芍薬散が合うタイプの方が自覚している5つの症状
・当帰芍薬散を服用して起こりうる副作用
などについてご紹介していきます。
自分に合った漢方薬を服用して、早くPMSの症状が改善されることを心より願っております。
目次
1.当帰芍薬散が合うタイプの方が自覚している5つの症状
1)当帰芍薬散の原典「金匱要略:婦人雑病編」に記載のある条文をチェック
あなたが当帰芍薬散の合うタイプかどうかを判断するために、当帰芍薬散の記載のある原典「金匱要略」の条文を確認してみます。金匱要略は、色々な病気別に「~のような症状には~という漢方薬が良いよ」という感じで漢方薬が紹介されています。
当帰芍薬散は、「婦人腹中諸の疾痛は、当帰芍薬散之を主る」とあります。
この条文から当帰芍薬散は、女性の腹痛を治すことが分かります。腹痛は5つの自覚症状の一つです。
2)パッケージ記載の当帰芍薬散の効能をチェック
あなたが当帰芍薬散の合うタイプかどうかを判断するために、当帰芍薬散の効能を確認してみます。なぜ効能効果を確認するかと言いますと、漢方薬の効能には、どのようなタイプの方に合いますよ!という形式で記載されているからです。
当帰芍薬散の効能には
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症
月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り
と記載されています。
上記の5つの症状が、記載されていることが分かります。
3)当帰芍薬散を構成する生薬をチェック
ほとんどの漢方薬は、複数の生薬を配合して構成されています。生薬一つ一つには、働きがあり、それを組み合わせることにより、漢方薬の多彩な効果があらわれます。
ひとつひとつの生薬の働きを確認することで、どのようなタイプの方に当帰芍薬散が合うかが分かります。
当帰芍薬散は、当帰(とうき)・芍薬(しやくやく)・川芎(せんきゅう)/茯苓(ぶくりょう)・沢瀉(たくしゃ)・白朮(びゃくじゅつ)の6つの生薬で構成されています。
当帰は、お腹を温め外の寒をのぞき血行を良くするものであり、芍薬は筋肉の緊張を弛め血行を良くして、川芎は気の巡りを良くして血行を良くします。つまり、3つの生薬でお腹を温め血行をよくして腹痛を治してくれます。
茯苓・沢瀉・白朮は、体内の水を取り除いてくれます。
トータルで考えると、冷えがあって、余分な水分が滞り(むくみ)、それが原因で血行障害(腹痛など)を起こしている方に当帰芍薬散が合うことが分かります。
余分な水分は血を薄めますので、薄まった血は貧血状態で、本来の働きができないので、必要な酸素や栄養が運ばれにくくなり、疲れやすくなります。
1)~3)をチェックすると、当帰芍薬散が、 1)冷え性である 2)生理痛・腹痛がある 3)貧血・生理の量が少ない 4)むくみがある 5)疲れやすいという5つの自覚症状を持っている方にピッタリの漢方薬であることが分かります。
2.当帰芍薬散を服用して起こりうる副作用
本来、漢方薬には、副作用はありません。ただ、タイプの合わない漢方薬を服用したり、本来の服用方法と違う方法で服用したりすると思わぬ副作用がでてしまうことがあります。
1)胃腸障害
前項目で、当帰芍薬散は、金匱要略に記載のある漢方薬であることをお伝えしました。金匱要略には、当帰芍薬散は、お酒で飲むようにと記載されています。
薬をお酒で飲むの?と驚きましたよね。
お酒には、辛く(甘く)温めますので、胃の働きを高めてくれる効果があります。
ということは、当帰芍薬散は、胃に負担がかかりますので、胃の機能を高めるお酒と一緒に服用して下さいということなのです。
このことから、胃に負担のかかる漢方薬だと言えます。実際、漢方薬のパッケージの注意にも、胃腸の弱い人と記載されています。
まとめ
当帰芍薬散は、 1)冷え性である 2)生理痛・腹痛がある 3)貧血・生理の量が少ない 4)むくみがある 5)疲れやすいという5つの自覚症状を持っている方にピッタリの漢方薬です。
からだに余分な水が溜まり、それが邪魔して、血流が悪くなっている場合に効果的な処方です。
今回の5つの症状にいずれも合わない方は、効果が期待できませんので、別の処方を検討しましょう。その際は、漢方外来のドクターか漢方薬局の薬剤師に相談することをおすすめします。
漢方の効果を実感するためには、しっかり飲み忘れることなく、服用することも大切です。


