
多嚢胞性卵巣症候群の漢方に当帰芍薬散があることを知ったあなた。
当帰芍薬散は、多嚢胞性卵巣症候群に効果的な漢方薬です。そして、当帰芍薬散は、3世紀頃にまとめられた漢方の聖典「金匱要略:婦人雑病編」に記載されている非常に歴史のある漢方薬です。
婦人雑病編に記載され、特に婦人科系のトラブルに重宝され続けてきた非常に歴史のある漢方薬です。
実際、私の運営する漢方薬局に来られた多嚢胞性卵巣症候群の方が当帰芍薬散を服用して代表的な多嚢胞性卵巣症候群の症状である生理不順を克服し、体の不快を感じることなく、元気に過ごされている方を数多く見てきました。ただ、すべての多嚢胞性卵巣症候群の人に当帰芍薬散が効果的であるわけではありません。
漢方薬には、証というものがあり、証とお体の状態が一致しないと、症状が改善されないだけでなく、反って体調を崩すこともあります。証を読み解くには、知識と経験が必要となります。
ここでは、多嚢胞性卵巣症候群に漢方の当帰芍薬散がどのように役立つのかを分かりやすく説明いたします。最後までお読みいただくと、当帰芍薬散を上手に活用して、多嚢胞性卵巣症候群を克服する道筋が見えてきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
多嚢胞性卵巣症候群に漢方の当帰芍薬散は有効だが、ほとんどの場合、他の漢方薬も必要となる
多嚢胞性卵巣症候群に漢方の当帰芍薬散は有効です。ただ、ほとんどの場合、他の漢方薬も必要となります。
なぜなら、多嚢胞性卵巣症候群を引き起こしている漢方医学的な病態は多くの場合、とても複雑で、当帰芍薬散のみで改善することは少ないからです。
当帰芍薬散を服用して、その後の体の変化を読み取り、その変化に合わせて別の漢方薬に切り替えていきます。これを繰り返すことで、多嚢胞性卵巣症候群が改善していきます。
例えば、以下の方がいらっしゃいました。
- 当帰芍薬散を服用して浮腫みや下痢は改善したけど、ニキビが変わらず残っており、生理周期も少し短くなったけどもう一つ改善していない。
- 当帰芍薬散で改善できる部分は改善したので、残っている症状に対しては、別の漢方薬に変更
- するとニキビとともに生理周期も30日に改善した。
当帰芍薬散を服用した後の体の変化を読み取り、その上で、次の漢方薬を服用していきます。そのような事を繰り返すことで多嚢胞性卵巣症候群は改善していきます。
複数の糸が絡まって団子状態になったのを一本ずつ解いて行くような感じで漢方薬を服用していくと症状が改善していきます。
当帰芍薬散を服用して、多嚢胞性卵巣症候群が改善した実例
当店にご相談の方で、当帰芍薬散を服用して多嚢胞性卵巣症候群が改善した実例をお伝えいたします。
年齢
- 33歳
漢方相談までの経過
- 妊活を開始し、タイミングをとっても授からないため、クリニックを受診。多嚢胞性卵巣症候群と診断される
- クリニックにて排卵誘発剤のクロミッドを処方され服用
肌荒れ、気持ち悪さ、卵巣の痛み、イライラ、顔の汗がひどく、2周期は服用したが、これ以上は続けられずに断念。別の方法を求めて漢方相談に
体の状態(初回相談時)
- 生理周期は38~42日
- 1~2年に一度大きく遅れることがあり、その時は、60日になることもある
- PMSもひどく,生理前に胸が張る、経血に塊が混じる、便秘になる等の症状あり
- 学生時代は寝込んだり病院に運ばれたりするほどの生理痛を経験したが、今は、鎮痛剤を服用すれば仕事ができる程度に落ち着いている
漢方服用の経過
- 漢方医学的に血に熱がこもり、血行が悪くなっている状態と判断、食事の内容を伺い、不足している栄養素を補う必要がると判断
- エッキ錠(配合生薬 当帰・川芎・地黄・芍薬・人参・甘草)
- リナグリーンプレミアム21(高品質スピルリナ製剤)を服用
- クロミッドの影響もあり、服用して1ケ月後(59日目)に生理が来る
- 生理前の胸の張りがあまり感じないようになる。
- 生理前に便秘、食欲の増加、お腹の張り、風邪っぽい症状あり
- 更に血の巡りを良くすることが必要と判断
- 桂枝茯苓丸(丸剤)を追加で服用
- 次の生理周期は36日目になる
- 1~2日前から少しイライラと情緒不安定はあったけど、今までで一番PMSが少なくなる
- ただ、生理中の疲れや精神的不安定さは前回よりほどかった。
- いつもよりドロッとした経血は減り、さらっとした鮮やかな赤色が多くなる
- 生理痛でお腹の痛さと別に腰のだるさがものすごくあった。痛み止めを3日間で4回服用したが、腰には効かずにお腹の痛みのみに効いた
- 喉の乾きがあった
- 漢方薬2種類を八味地黄丸に変更
- リナグリーンプレミアム21は継続
- 28日服用後、生理前の落ち着かない感じあり、朝がすごく眠い
- 子宮にあたりに違和感があり、物があたったりするとすごく気なる
- 今まで生理前は便秘だったのに、便が緩めでよく出る。
- 食欲が出ている
- 八味地黄丸を当帰芍薬散へ変更
- 2日後、生理周期40日で生理
- 下腹部痛、だるさ、焦燥感、眠気、浮腫みあり
- 当帰芍薬散を継続
- 下腹部痛、だるさ、焦燥感、眠気、浮腫みあり
- さらに2週間後から基礎体温の変動が少なくなる。
- 当帰芍薬散を継続
- 次の生理周期は34日目になる
生理前のイライラは1日ちょっと短く、腰痛、眠気、だるさ、食欲の増加は少しずつで先月よりすごく楽に過ごせました- 当帰芍薬散を継続
- その後、当帰芍薬散の服用を続け、生理周期も32日~34日で安定するようになる。
多嚢胞性卵巣症候群で当帰芍薬散が合う人合わない人
当帰芍薬散は、
- 生理痛・腹痛がある
- 冷え性である
- 貧血・生理の量が少ない
- むくみがある
- 疲れやすい
という5つの自覚症状を持つ多嚢胞性卵巣症候群の方に合います。
逆に、これらの症状を合わせ持たない多嚢胞性卵巣症候群の人に当帰芍薬散はあいません。特に便秘の人に当帰芍薬散の合うことは少ないです。
当帰芍薬散の効能には
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り
と記載されています。上記の5つの症状が、記載されていることが分かります。
排卵がなかなかできず、生理周期が50日を超えるような生理不順で、疲労があり、頭痛もちで、どちらかというとお通じは緩めで、おしっこの回数は少なく、浮腫みやすい人は、当帰芍薬散でこれらの症状が改善していき、生理周期が正常に近づいて行く可能性が高いです。
- 冷え性である
- 生理痛・腹痛がある
- 貧血・生理の量が少ない
- むくみがある
- 疲れやすい
という5つの自覚症状のある多嚢胞性卵巣症候群の人は、当帰芍薬散を服用すると良いと思います
多嚢胞性卵巣症候群の人が当帰芍薬散を服用した時の副作用
多嚢胞性卵巣症候群の人が当帰芍薬散を服用した時の副作用として、以下の症状がでたりすることがあります。
皮膚に発疹・発赤

かゆみ

食欲不振、胃部不快感

当帰芍薬散の副作用に、これらの記載があることから分かります。漢方薬はお薬で体の負担がゼロではありません。服用する際に不安のある方は、一度薬局の薬剤師に相談してからの服用をおすすめします。
もともと当帰芍薬散は胃に負担がかかることのある漢方薬ですので、症状が出た場合は、服用を中止してください。中止すればほとんどの場合、元に戻っていきます。
多嚢胞性卵巣症候群の人の当帰芍薬散の服用方法
多嚢胞性卵巣症候群の人の当帰芍薬散の服用方法は、1日3回食前または食間に水または白湯で服用してください。これは、漢方薬のパッケージや説明書きに記載されている服用方法と同じです。
食前や食間は飲み忘れやすいため、飲み忘れを防ぐために食事のテーブルに当帰芍薬散を置いておくという方が多いです。
効果を実感しやすくするため、当帰芍薬散の効果を判断するためにも、1日3回食前または食間に水または白湯で服用してください。
実際に、私たちが当帰芍薬散を服用いただく際にすすめている流れを紹介いたします。
- どの漢方薬が必要かを判断するために、おからだの状態を詳しく伺います。
- 今のおからだに合う最適な漢方薬を選び出し、その理由と共に説明して、その漢方薬を服用していただきます。(2週間分が多いです。)
- 2週間後に、漢方薬を服用しての体調の変化を聞き取り、良くなった部分、変わらなかった部分、悪化した部分などを聞き取り、漢方薬の効果を検証し、同じ漢方薬か別の漢方薬にした方が良いかを判断します。
- その時に、3で記載した当帰芍薬散の合う上記の5つの症状がある人は、当帰芍薬散の服用を検討します。その際も、その他の症状も確認し、本当に当帰芍薬散が合っているか判断してから服用していただきます。
- 2週間後、当帰芍薬散を服用しての体調の変化を聞き取り、継続服用か、別の漢方薬にした方が良いかを判断していきます。
多嚢胞性卵巣症候群にお悩みで、根本的に治療したい方は相談先の一つとして、漢方相談薬局にご相談することをおすすめします
多嚢胞性卵巣症候群にお悩みで、根本的に治療したい方は相談先の一つとして、漢方相談薬局にご相談することをおすすめします。
多嚢胞性卵巣症候群の漢方薬は、一つの漢方薬で治ることは少なく、ほとんどの場合、複数の漢方薬を服用することになるからです。
漢方薬を服用して、漢方薬の効果を判断し、取れない症状を次の漢方薬を選んで、服用するということを繰り返すことで改善していきます。
一人一人違う多嚢胞性卵巣症候群の漢方医学的なお体の状態を正しく把握し、最適な漢方薬を選ばないと根本的な治療は難しいため、相談先の一つとして、専門的な知識や経験が豊富な漢方薬局に相談することをおすすめいたします。
まとめ
当帰芍薬散は、多嚢胞性卵巣症候群に効果的な漢方薬です。ただ、ほとんどの場合、他の漢方薬も必要となります。当帰芍薬散は、
- 生理痛・腹痛がある
- 冷え性である
- 貧血・生理の量が少ない
- むくみがある
- 疲れやすい
という5つの自覚症状を持つ多嚢胞性卵巣症候群の方に合います。
逆に、これらの症状を合わせ持たない多嚢胞性卵巣症候群の人に当帰芍薬散はあいません。多嚢胞性卵巣症候群にお悩みで、根本的に治療したい方は相談先の一つとして、漢方相談薬局にご相談することをおすすめします。


