
防己黄耆湯について詳しく知りたいあなた。
防己黄耆湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「金匱要略」に記載のある非常に歴史ある漢方薬です。
ツムラ防己黄耆湯の添付文書には、腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、癰、せつ、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順の13の効能効果が記載されています。
ただ、ただ、漢方薬の効能効果には、ある特徴があります。
それは、症状を引き起こしている東洋医学的な病態と病態を改善する漢方薬が一致した場合には、症状が改善していきますが、病態と漢方薬が一致しない場合は、症状が改善しないばかりか、副作用が出てしまうこともあることです。
本記事では、防己黄耆湯について詳しく知りたい方に向けて
- 防己黄耆湯の代表的な13つの効果について
- 防己黄耆湯は東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのか
ついて紹介していきます。
自分に合った漢方薬を選ぶことは、とても難しいことです。
ただ、自分に合った漢方薬と出会った場合、中々治らなかった辛い症状が、嘘みたいに治ることがあります。
自分に合う漢方薬に出会い、辛い症状を改善されることを心から願っております。
目次
1.防己黄耆湯の代表的な13の効果について
1)ツムラ防己黄耆湯(一般用)添付文書には以下のように記載されています。
体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症:
肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりの ない、いわゆる水ぶとり)
2)ツムラ20防己黄耆湯(医療用)の添付文書には以下のように記載されています。
色白で筋肉軟らかく水ぶとりの体質で疲れやすく、汗が多く、小便不利で下肢に浮腫をきたし、膝関節の腫痛するものの次の諸症
腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、癰、せつ、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順
3)トータルで考えると
一般用医薬品の記載が分かりやすいです。それをベースに腎臓の疾患や、皮膚病、筋炎、月経婦人等の疾患にも応用されることもある漢方薬であることが分かります。
ただ、漢方薬の効能効果の記載で注意しなければならない点があります。
それは、西洋医学の病名が当てはまる方に、すべて合うわけではないということです。
そこで、次に防己黄耆湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかについて説明させていただきます。
2.防己黄耆湯は東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのか
防己黄耆湯が東洋医学的にどのような病態を改善する漢方薬なのかを知るために、金匱要略に記載のある防己黄耆湯の条文をご紹介させていただきます。なぜ、金匱要略の条文をご紹介するかというと、漢方の古典には、「~のような時には、この漢方薬が効きます。」と記載されているからです。
1)金匱要略にある記載にある防己黄耆湯の条文
痙湿暍病 22条
風湿の病で脈が浮いていて、身体が重く汗が出て悪風する者は、防己黄耆湯があいます。
水気病 23条
風水の病で、脈が浮いていて、身体が重く、汗が出て悪風する者は、防己黄耆湯が治します。
水気病 35条
防己黄耆湯は、風水で、脈が浮いていて、表にあって、頭部から汗が出て、表にはほかの病気はなく、病人は下半身が重く、浮腫があり陰部に及んで屈伸することができない状態を治します。
風湿や風水が原因で汗が出て、身体が重だるい状態を治すことが分かります。
2)防己黄耆湯を構成する生薬
防己黄耆湯
防已 (辛・平)4.0
黄耆 (甘・微温)5.0
甘草 (甘・平)2.0
白朮 (苦・温)3.0
大棗 (甘・平)4.0
生姜 (辛・温)3.0
防己黄耆湯は、温める(温・微温)生薬が3つ、温めも冷やしもしない生薬(平)が3つで構成されています。
このことから、防己黄耆湯は、温める働きが強いことが分かります。
防已は、陽気を発散させて水を巡らせます。
白朮は、血流を盛んにして、余分な水を排泄させます。
黄耆は、汗を止めて、水を巡らせて、小便から出す働きがあります。
生姜・大棗・甘草は、気血を増やします。
それぞれの生薬をみてみると、防己黄耆湯は、体の表面の陽気が衰えていて冷えて水が多く、それが原因で陽気の発散が悪くなり、熱と水が停滞してむくみや痛みなどを発症している病態を改善する漢方薬であることが分かります。
まとめ
防已黄耆湯は、三世紀ごろ中国でまとめらえた医学書「金匱要略」に記載のある非常に歴史ある漢方薬です。
肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのないいわゆる水ぶとり)防己黄耆湯の代表的な効能効果です。
防己黄耆湯は、体の表面の陽気が衰えていて冷えて水が多いため陽気の発散が悪く、熱と水が停滞してむくみや痛みなどを発症している病態を改善する漢方薬です。


