
生理が2~3ヶ月こない状態が続いていているあなた。
以前からニキビや毛深さが気になっているあなた。
不妊治療中で、クロミッドやフェマーラを服用しても上手に排卵しないあなた。
ご自身が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)なのではないかと不安に思っているのではないでしょうか。
現在、日本では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断に、2024年に改訂された(日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会)策定の診断基準が用いられています。
その基準によると、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、①月経異常または慢性無排卵、②多嚢胞性卵巣またはAMH高値、③高アンドロゲン血症またはLH高値の3項目を満たし、他の病気を除外した場合に診断されます。
これは、日本人女性の特徴(欧米に比べて肥満や多毛が少ないこと)を反映した診断基準となっております。
今回は、2024年に改訂された多嚢胞性卵巣症候群の診断基準を中心に
- PCOSはどんな検査を受けるのか?
- PCOSとはどのような病気なのか
- PCOSと間違いやすい病気について
- PCOSと診断されたらどんな検査を受けるのか?
- PCOSと診断されたら治療は?
についてまとめました。
読み終えていただければ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と判断される基準や検査方法、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と似た疾患、治療法についてご理解いただけますのでぜひご参考にしてください。
目次
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は3つに当てはまるかどうかで診断されます。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は以下の3つに当てはまるかによって診断されます。
- 月経周期異常
- 多囊胞卵巣 または AMH高値
- アンドロゲン過剰症 または LH高値
1の月経周期異常とは、無月経、希発月経、無排卵周期症のいずれかとする となっております。
- 無月経とは、3ヶ月以上生理がこない状態です。
- 希発月経とは、月経周期が39日以上〜3ヶ月未満と、正常な周期(25〜38日)よりも長い状態です。
- 無排卵周期症とは、月経のような出血はあるものの、卵巣から卵子が排出されていない状態です。
2の多囊胞卵巣 または AMH高値と3のアンドロゲン過剰症 または LH高値についてはクリニックや病院にて、エコー検査や血液検査などが必要となります。
ここでポイントは、月経周期が25~38日に入ると、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断基準から外れることになります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のセルフチェック
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を自分でチェックするための項目をあげてみました。
複数当てはまる方は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われますので、一度受診することをおすすめいたします。
- 生理周期38日以上になることがある
- ニキビができやすい
- 多毛である
- 妊娠しにくい
- 排卵検査薬がずっと陽性である
- 不正出血することがある
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)診断までの流れ
婦人科受診してから多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されるまでの代表的な流れをまとめました。
1.婦人科受診
2.問診・血液検査・エコー検査
3.ほかの病気を除外
4.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断される
PCOSとはどのような病気なのか
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは性成熟女性の5~15%に認められる疾患です。
主症状である月経異常は思春期(小学校高学年頃から高校生)から持続しています。
超音波検査をすると卵巣に多数の小卵胞が存在します。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵障害による月経不順や不妊症のみならず、肥満、糖尿病、周産期の合併症、悪性腫瘍、不安・うつ傾向などさまざまな健康を害する状態と関連し、長期的な視野での管理が必要な疾患です。
本当は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の月経不順やニキビや多毛などが起こりやすい思春期(小学校高学年頃から高校生)のうちから対応することが望まれる疾患です。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と間違いやすい病気について
多嚢胞性卵巣症候群と間違いやすい病気についてまとめました。
これらの病気には共通して
- 生理不順
- 無月経
- 排卵障害
- 妊娠しにくい
という症状があります。
そのため、婦人科では問診、超音波検査、血液検査などを組み合わせて診断していきます。
高プロラクチン血症
血中のプロラクチン値が30ng/mL以上を示す場合を高プロラクチン血症となります。
プロラクチンは母乳を分泌させるホルモンです。
以下の様な多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と似た症状があります。
- 生理が来ない
- 排卵しない
- 妊娠しにくい
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)によって高プロラクチン血症が起こることもあります。
血液検査によって診断されます。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモン作用が必要よりも低下した状態です。
甲状腺ホルモンが不足すると、脳下垂体から甲状腺を刺激するホルモン(TSHなど)が過剰に分泌されます。
これに伴い、乳汁分泌を促すホルモンであるプロラクチンも一緒に上昇しやすくなります。
高プロラクチン血症と同様に以下の様な多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と似た症状があります。
- 生理が来ない
- 排卵しない
- 妊娠しにくい
血液検査によって診断されます。
視床下部性無月経
GnRHというホルモンの分泌異常が原因となります。
- ダイエット
- 過度な運動
- 強いストレス
がきっかけに起こります。
血液検査でホルモン数値を測定して診断されます。
早発卵巣不全(早発卵巣機能不全:POI)
40歳未満で卵巣機能が低下する病気です。
症状は
- 生理が止まる
- 妊娠しにくい
などで多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と似ていますが、
血液検査でホルモン数値を測定して診断されます。
非古典的先天性副腎皮質過形成(NCCAH)
遺伝子疾患です。
- 月経不順
- 多毛
- ニキビ
などで多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と似ていますが、
血液検査で生化学数値やホルモン数値を測定したり、尿検査をして診断されます。
クッシング症候群
クッシング症候群は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰分泌される病気です。女性に多いです。
特徴的な症状として
- 月経異常
- 肥満
- 多毛
- 血圧上昇
- 筋力低下
などがあります。
頻度は高くありません。
卵巣・副腎の男性ホルモン産生腫瘍
非常にまれですが、
急激に
- 多毛
- 声が低くなる
- 筋肉質になる
などの場合は注意が必要です。
PCOSはどんな検査を受けて診断を受けるのか?
婦人科では問診、超音波検査、血液検査などを組み合わせて診断していきます。
PCOSと診断されたら治療は?
胎児希望の有無やBMIの状態など様々な条件に合わせていくつかの選択肢があります。
ピルの服用
胎児希望のない場合は、多くの場合、ピルを服用して定期的に消退出血を起こし、子宮内膜癌の発症リスクを減らしていきます。
排卵させるアプローチ
第一は、排卵させるアプローチを行います。
- クエン酸クロミフェンによる排卵誘発 排卵誘発の第一選択はクエン酸クロミフェンの内服です。一般的な使用方法は、月経5日目より、1日1~2錠を5日間服用します。なかなか排卵できないときは、ステロイド(プレドニンなど)を併用することもあります。
- レトロゾールによる排卵誘発 最近は、レトロゾールによる排卵誘発を行うケースも増えてきています。
- 注射剤(ゴナドトロピン製剤)による誘発法 クエン酸クロミフェンで排卵しない場合はや妊娠成立しない場合にFSH製剤の注射を用います。ただ、多嚢胞性卵巣症候群の方は、注射の加減が難しく、少量だと排卵できず、少し多くするだけで過剰に反応することがあります。過剰に反応すると卵巣が腫れあがり、お腹に水が溜まり、重症になると胸にも水が溜まり、血液が濃縮する卵巣過剰刺激症候群(OHSS:ovarian stimulation syndrome)を引き起こすがあります。
メトホルミンの服用
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因に耐糖能異常が関わっていると考えられています。
この対策として、メトホルミンという糖尿病のお薬を服用することがあります。
メトホルミンを服用すると、血糖値を下げてくれますので、過剰にインスリンが分泌されなくなります。
それにより、卵巣での男性ホルモンの上昇も抑えられ、排卵しやすくなります。
不妊治療中は保険適応となります。
副作用として下痢や吐き気が起こることがあります。
減量(肥満がある場合)
BMIが25以上あれば、インスリンがでにくいような食事GI値の低い食材を多くすることで、体重を減らします。
外科的療法(卵巣焼灼術)
腹腔鏡にて卵巣に穴をあける手術があります。
この手術を行うと薬に対する反応性がよくなったり、自然に排卵できるようになったりします。
しかし、1年ぐらいすると元の状態に戻ってしまうことが多いです。
体外授精
卵胞が7~10mmで採卵して、受精させて凍結します。その後、解凍胚移植します。
漢方薬
漢方医学では、卵子が上手く発育できず、未熟な小卵胞がたくさんある原因は、精の力や血の力が弱っていると考えます。それを補ってあげることが根本的な対策になります。
それにプラスして、多嚢胞性卵巣症候群の方は、卵巣の膜が厚くなっていたり、未熟な卵胞があったりしています。これらを上手に取り除いていかなくてはなりません。
そのためには、お体の状態を伺って、漢方医学でいう気血水の何が滞っているかを判断し、それを改善する漢方薬を服用します。今ある状態を改善し、その原因となっている不足を補う事で、症状が改善されていきます。
漢方相談で大切にしていること
当薬局でも、「PCOSかもしれません」というご相談をいただくことがあります。
しかし、生理が来ない原因はPCOSだけではありません。
そのため、まだ婦人科を受診されていない方や、必要な検査を受けていない方には、まず医療機関で診断を受けていただくことをおすすめしています。
その医師の診断結果も漢方薬を選ぶ時の貴重な情報となることもあります。
医師の治療と一緒に漢方相談を行うこともできますので、ご安心ください。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は西洋医学的にはその原因がはっきり解明されていません。
ただ、漢方医学的には、複数の原因が重なって起きている場合が多く、それに対応した漢方薬を服用することにより根本的にアプローチすることが可能な疾患です。
複数の糸が絡まって団子状態になったのを一本ずつ解いて行くような感じで漢方薬を服用していくと症状が改善していきます。
一人一人違う多嚢胞性卵巣症候群の漢方医学的なお体の状態を正しく把握し、最適な漢方薬を選ばないと根本的な治療は難しいため、相談先の一つとして、専門的な知識や経験が豊富な漢方薬局に相談することをおすすめいたします。
診断は病院で行われます。しかし、「診断された後、どう改善していけばよいのか」が分からず悩まれる方も少なくありません。当薬局では、PCOSと診断された方の体質や生活習慣を詳しく伺い、一人ひとりに合わせた漢方相談を行っています。
まとめ
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは性成熟女性の5~15%に認められる疾患です。
主症状である月経異常は思春期(小学校高学年頃から高校生)から持続しています。
超音波検査をすると卵巣に多数の小卵胞が存在します。
現在、日本では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断に、2024年に改訂された(日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会)策定の診断基準が用いられています。
これは、日本人女性の特徴(欧米に比べて肥満や多毛が少ないこと)を反映した診断基準となっております。
婦人科では問診、超音波検査、血液検査などを組み合わせて診断していきます。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と同じように月経異常や肥満や多毛を引き起こす疾患もあります。
まだ婦人科を受診されていない方や、必要な検査を受けていない方には、まず医療機関で診断を受けていただくことをおすすめしています。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は西洋医学的にはその原因がはっきり解明されていません。
ただ、漢方医学的には、複数の原因が重なって起きている場合が多く、それに対応した漢方薬を服用することにより根本的にアプローチすることが可能な疾患です。
複数の糸が絡まって団子状態になったのを一本ずつ解いて行くような感じで漢方薬を服用していくと症状が改善していきます。
診断は病院で行われます。しかし、「診断された後、どう改善していけばよいのか」が分からず悩まれる方も少なくありません。
当薬局では、PCOSと診断された方の体質や生活習慣を詳しく伺い、一人ひとりに合わせた漢方相談を行っています。
よくある質問(FAQ)
Q PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は血液検査だけで診断できますか?
A. 血液検査だけで診断することはできません。
PCOSの診断では、月経不順や排卵障害の有無、超音波検査による卵巣の状態、AMHやLHなどの血液検査の結果を総合的に判断します。また、甲状腺疾患や高プロラクチン血症など、似た症状を引き起こす病気を除外することも重要です。
Q AMHが高いだけでPCOSと診断されますか?
A. AMHが高いだけではPCOSとは診断されません。
AMHは卵巣内の卵胞数を反映する指標ですが、高値だからといって必ずしもPCOSとは限りません。月経異常や排卵障害、ホルモン検査などを合わせて総合的に診断されます。
Q LHが高いだけでもPCOSですか?
A. LHが高いだけではPCOSとは断定できません。
PCOSではLHが高くなることがありますが、月経不順や排卵障害、多嚢胞性卵巣など他の診断項目も確認する必要があります。医師が検査結果を総合的に評価して診断します。
Q 痩せていてもPCOSになることはありますか?
A. はい、痩せ型の方でもPCOSになることがあります。
欧米では肥満を伴うPCOSが多い一方、日本ではBMIが標準または低めの方でもPCOSと診断されるケースは珍しくありません。そのため、体型だけでPCOSを判断することはできません。
Q 生理不順があれば必ずPCOSですか?
A. 生理不順の原因はPCOSだけではありません。
ストレス、急激な体重変化、甲状腺疾患、高プロラクチン血症、早発卵巣不全など、さまざまな原因が考えられます。生理不順が続く場合は婦人科を受診し、原因を調べることが大切です。
Q PCOSは何科を受診すればよいですか?
A. 婦人科または産婦人科を受診しましょう。
月経不順や排卵障害、不妊の相談がある場合は、婦人科・産婦人科で診察や必要な検査を受けることができます。
Q PCOSと診断されたら妊娠できますか?
A. はい、多くの方が妊娠・出産されています。
PCOSでは排卵が起こりにくく妊娠しづらいことがありますが、生活習慣の改善や排卵誘発療法、必要に応じた漢方療法などにより排卵が改善し、妊娠に至る方も少なくありません。
Q PCOSは自然に治りますか?
A. 自然に改善する方もいますが、放置はおすすめできません。
年齢や生活習慣の変化で症状が軽くなる場合もありますが、月経不順や無排卵が続くと子宮内膜増殖症などのリスクが高まることがあります。定期的に婦人科を受診し、適切な管理を受けることが大切です。
Q 漢方でPCOSは改善できますか?
A. 漢方は体質や症状に合わせて用いられます。
漢方では、月経不順や冷え、むくみ、疲れやすさなど、一人ひとりの体質や症状に合わせて処方を選びます。漢方だけでなく、食事や運動など生活習慣も含めて改善に取り組むことが重要です。なお、漢方による効果には個人差があり、医療機関での診断や治療と併用しながら進めることが推奨されます。
Q PCOSと診断されたら、まず何をすればよいですか?
A. まずは医師と治療方針を相談し、ご自身の目的を整理することが大切です。
妊娠を希望する場合と希望しない場合では、治療方針が異なります。また、生活習慣の見直しや体重管理が症状の改善につながることもあります。不安なことがあれば、婦人科だけでなく、漢方相談なども活用しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。
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