
「出産前は生理が普通に来ていたのに、産後から生理が来なくなった」
「産後、生理周期がバラバラになってしまった」
「産婦人科で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性があると言われた」
このように、出産後に生理の状態が変化し、PCOSではないかと心配される方がいます。
特に、2人目・3人目を考え始めたタイミングで生理が戻らなかったり、排卵していないことが分かったりすると、不安になるのではないでしょうか。
しかし、産後に生理が来ない・周期が乱れるからといって、すぐにPCOSになったとは限りません。
産後は授乳やホルモンの変化などによって、一時的に月経や排卵が不規則になることがあります。
一方で、授乳が終わっても月経が戻らない、もともと月経不順があった、排卵障害が続いているといった場合には、PCOSを含めて原因を調べることが大切です。
この記事では、産後に「PCOSになったのでは?」と心配している方に向けて、産後の月経不順とPCOSの関係、受診の目安、2人目の妊娠を考えている場合のポイントについて、薬剤師が解説します。
産後にPCOSになった?まず知っておきたいこと
結論からいうと、「産後に生理が来なくなった=PCOSになった」というわけではありません。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、排卵障害や男性ホルモン(アンドロゲン)の過剰などが関係する疾患です。
一方、産後は妊娠・出産によって大きく変化したホルモン環境が戻っていく途中であり、特に授乳中は排卵や月経が再開しないことがあります。
そのため、
産後に生理が来ない
↓
すぐにPCOSと考える
のではなく、
授乳状況・産後どのくらい経過しているか・以前の月経周期・排卵の状態などを含めて考える
ことが重要です。
産後に生理が来ない主な理由
産後に月経が再開しない理由としては、例えば次のようなものがあります。
- 授乳によるホルモンの影響
- 産後のホルモンバランスの変化
- 妊娠
- 強いストレス
- 睡眠不足
- 急激な体重減少
- 体重増加
- 甲状腺の異常
- 高プロラクチン血症
- PCOSなどの排卵障害
このように、原因はPCOSだけではありません。
授乳中なら生理が来なくても珍しくありません
産後の月経について考えるときに、まず確認したいのが授乳しているかどうかです。
授乳中は、乳汁を作るためのホルモン環境によって排卵が抑えられることがあります。
そのため、出産後しばらく生理が来ないこと自体は珍しくありません。
また、月経が再開したとしても、最初のうちは周期が安定しないことがあります。
「産後だから生理周期がおかしいのかな」と感じても、必ずしもPCOSとは限りません。
授乳をやめたのに生理が来ない場合は?
一方で、
「授乳を終えてしばらく経つのに生理が来ない」
という場合は、産婦人科で一度相談することをおすすめします。
特に、
- 月経が何か月も来ない
- 月経周期が極端に長い
- 年に数回しか生理が来ない
- 排卵していないと言われた
- 2人目を考えている
- 妊娠を希望しているのに排卵が確認できない
といった場合には、PCOSを含めて原因を確認することが大切です。
産後にPCOSと診断されることはある?
ここは非常に重要なポイントです。
産後に初めてPCOSと診断される方はいます。
ただし、それは必ずしも、
「出産によってPCOSという病気になった」
という意味ではありません。
出産前にはPCOSの症状が目立たなかったものの、産後に月経不順や排卵障害が現れ、検査をきっかけにPCOSが分かることも考えられます。
また、妊娠前から月経周期が長かったものの、妊娠・出産によっていったん月経周期に注意を向けなくなり、産後に改めて異常に気付くケースもあります。
そのため、
「出産後に初めてPCOSと分かった」ことと「出産が原因でPCOSになった」ことは同じではありません。
ここは混同しないようにしましょう。
PCOSかどうかは「生理が来ない」だけでは判断できません
PCOSは、生理が来ない・生理周期が長いというだけで診断されるものではありません。
診断では、月経・排卵の状態、男性ホルモンの状態、卵巣の超音波所見などを総合的に確認します。
また、甲状腺疾患や高プロラクチン血症など、PCOS以外の原因によって月経不順が起こっている可能性も確認する必要があります。
そのため、
「産後に生理が来ないからPCOS」
と自己判断することは避けましょう。
産後のPCOSで気になる「2人目が妊娠できる?」
産後に生理が戻らず、
「2人目が欲しいけれど妊娠できるの?」
と心配される方もいます。
PCOSでは排卵が不規則になることがあるため、妊娠を希望する場合には排卵のタイミングがつかみにくくなることがあります。
しかし、PCOSだから妊娠できないということではありません。
排卵が起こっているのか、どの程度の周期で排卵しているのかを確認しながら、必要に応じて婦人科で治療を受けることが重要です。
産後に生理が来ないとき、排卵検査薬を使ってもいい?
「生理が来ないので、排卵検査薬を使って排卵を確認したい」という方もいるでしょう。
PCOSでは、LHが高めに推移することがあり、排卵検査薬が長期間陽性になるなど、判定が難しいケースがあります。
そのため、排卵検査薬だけで排卵の有無を判断するのが難しい場合があります。
妊娠を希望している場合は、基礎体温や排卵検査薬だけに頼らず、必要に応じて婦人科で超音波検査などを受けることも検討しましょう。
産後のPCOSに漢方薬は使える?
産後に月経不順が続き、
「できれば漢方で体調を整えたい」
と考える方もいます。
漢方相談では、PCOSという病名だけを見るのではなく、
- 月経周期
- 月経量
- 生理痛
- 冷え
- むくみ
- 便通
- 睡眠
- 疲れやすさ
- ストレス
- 食欲
- 体重変化
- 授乳の有無
- 妊娠希望の有無
などを確認し、その方の体質や体調を総合的に考えていきます。
ただし、産後・授乳中は通常のPCOSとは異なる点も多いため、漢方薬を利用する場合も自己判断ではなく、医師や薬剤師などの専門家に相談することが大切です。
また、妊娠を希望している場合や、すでに不妊治療を受けている場合には、現在の治療内容を踏まえて相談する必要があります。
こんな場合は一度婦人科に相談しましょう
産後の月経について、次のような場合は一度婦人科で相談してみましょう。
- 授乳を終了しても月経が戻らない
- 月経が何か月も来ない
- 月経周期が非常に長い
- 年に数回しか月経が来ない
- 排卵していないと言われた
- 2人目の妊娠を希望している
- 妊娠を希望しているのに排卵が確認できない
- 以前から月経不順があった
- PCOSではないかと心配している
産後の月経不順にはさまざまな原因があります。
「産後だから仕方ない」と長期間そのままにするのではなく、気になる場合は原因を確認しておくと安心です。
産後に「PCOSになったかも」と悩んでいる方へ
出産後に生理が来なくなったり、周期が大きく乱れたりすると、
「以前はこんなことなかったのに」
「2人目が欲しいのに、このままで大丈夫?」
と不安になることがあります。
しかし、産後の月経不順=PCOSとは限りません。
授乳の状況や産後の経過、以前の月経周期、体重やストレス、排卵の状態などを一つずつ確認することが大切です。
また、婦人科でPCOSと診断された場合でも、症状や体質、妊娠希望の有無などによって悩みは一人ひとり異なります。
当薬局では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でお悩みの方の漢方相談を行っています。
「病院ではPCOSと言われたけれど、日常生活で何を気をつければいいの?」
「2人目を考えているけれど、生理がなかなか戻らない」
「PCOSの治療と並行して漢方相談をしてみたい」
など、気になることがありましたらご相談ください。
産後の体調や月経の状態、現在の治療、妊娠希望などを伺いながら、その方に合わせた漢方相談を行っています。
FAQ
産後にPCOSになることはありますか?
産後に初めてPCOSと診断されることはあります。ただし、「出産したことが原因でPCOSになった」とは限りません。産後の月経不順には授乳やホルモン変化など、さまざまな原因があります。
産後、生理が来ないのはPCOSだからですか?
生理が来ない原因はPCOSだけではありません。授乳、妊娠、ストレス、体重変化、甲状腺機能の異常、高プロラクチン血症なども考えられます。
授乳をやめたのに生理が来ません。PCOSでしょうか?
授乳終了後も月経が戻らない場合は、PCOSを含めて原因を確認することが大切です。月経が長期間来ない場合は、婦人科への相談をおすすめします。
産後に生理周期が長くなったのですがPCOSですか?
生理周期が長いことだけでPCOSとは判断できません。排卵の状態やホルモン、卵巣の状態などを含めて判断します。
産後にPCOSと診断されました。2人目は妊娠できますか?
PCOSでは排卵が不規則になることがありますが、PCOSだから妊娠できないということではありません。妊娠を希望する場合は、排卵の状態を確認しながら婦人科で相談することが大切です。
PCOSの場合、排卵検査薬を使っても大丈夫ですか?
使用することはできますが、PCOSではLHが高めに推移することがあり、排卵検査薬だけでは排卵の判断が難しい場合があります。
産後のPCOSに漢方薬は使えますか?
漢方薬を利用することはありますが、産後や授乳中は通常とは異なる注意点があります。また、妊娠を希望している場合は現在の治療との関係も考慮する必要があります。自己判断で使用せず、専門家に相談してください。
PCOSの治療をしながら漢方相談を受けることはできますか?
婦人科での治療を続けながら漢方相談を行うこともあります。ただし、現在使用している薬や治療内容を確認したうえで相談することが大切です。

