多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のピルはいつまで?やめる時期・妊娠希望・やめた後の生理を症例とともに解説

「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でピルを飲んでいるけれど、いつまで続ければいいの?」

「将来妊娠したいけれど、ピルはいつやめればいい?」

「ピルをやめたら、また生理が来なくなるのでは?」

PCOSと診断され、ピルを服用している方の中には、このような疑問を感じている方が少なくありません。

ピルを服用している間は定期的に出血があっても、

「PCOSは治っているの?」

「ピルをやめたらどうなるの?」

と不安になることもあります。

この記事では、PCOSでピルを使用する目的、いつまで服用するのか、ピルをやめるときに考えたいこと、妊娠を希望する場合の考え方について解説します。

また、約5年間ピルを服用していた29歳女性が、将来の妊娠を考えてピルを終了し、漢方相談を続けながら生理周期を確認していき、その後妊娠された症例もご紹介します。

PCOSのピルはいつまで飲む?

結論からいうと、PCOSだから「○年間」「○歳まで」と一律にピルを服用するわけではありません。

ピルを使用する期間は、

  • 月経周期をコントロールする

  • 月経に伴う症状を軽減する

  • ニキビなどの症状を改善する

  • 子宮内膜への影響を考える

  • 現在妊娠を希望しているか

など、その方の状態や治療目的によって異なります。

そのため、

「PCOSだからいつまでピルを飲むのか」

ではなく、

「今、何のためにピルを服用しているのか」

を確認することが大切です。

また、妊娠を希望するようになった場合には、治療の目的そのものが変わってくるため、ピルの継続について主治医と相談する必要があります。

PCOSでピルを服用するのはなぜ?

PCOSでは、排卵が規則的に起こらず、月経周期が長くなったり、月経がなかなか来なかったりすることがあります。

また、ニキビなどの症状が気になる方もいます。

こうした症状に対して、ピルが使用されることがあります。

ただし、ここで知っておきたいのは、

ピルを服用している間に定期的な出血があっても、それだけでPCOSそのものが改善したとは判断できない

ということです。

ピルによってホルモン環境がコントロールされている状態と、ピルを中止した後に自然に排卵・月経が起こっている状態は分けて考える必要があります。

ピルを飲んでいると「生理が毎月ある」ように見えるのはなぜ?

ピルを服用していると、一定の周期で出血が起こります。

そのため、

「毎月生理が来ているから、月経周期は正常になった」

と感じることがあります。

しかし、ピル服用中の出血と、自然な排卵後に起こる月経は同じものではありません。

そのため、将来ピルをやめたい場合には、

「ピルを飲んでいる間は出血がある」ことと、「ピルをやめても自然な排卵・月経が起こる」ことは別に考える

必要があります。

将来妊娠したいなら、ピルはいつまで?

将来妊娠を希望している場合は、「いつピルをやめるのか」ということだけでなく、やめた後に排卵や月経がどうなるのかを考えることが重要です。

PCOSでは、ピルを中止した後も排卵が不規則になる方がいます。

特に、

  • ピルを飲む前から生理周期が長かった

  • 2~3か月生理が来ないことがあった

  • ピルをやめると生理が来なくなる

  • 排卵しているか分からない

  • 妊活を始めたい

という場合には、ピルを中止した後の状態について婦人科に相談するとよいでしょう。

「妊娠したいから、今すぐピルをやめる」だけではありません

将来妊娠したい場合でも、具体的にいつ妊娠を希望するのかによって考え方は変わります。

「数年後には妊娠したい」

という場合と、

「これから妊活を始めたい」

という場合では、必要な準備も異なります。

そのため、

妊娠を希望する時期を考えながら、現在の治療について主治医と相談する

ことが大切です。

【症例】29歳女性|PCOSで約5年間ピルを服用。ピルをやめて自然な生理周期を目指し、その後妊娠

ここからは、実際に漢方相談を受けられた方の一例をご紹介します。

この方は、約5年間ピルを服用されていました。

将来の妊娠を考えるようになり、

「ピルをやめて、自然な生理周期を目指したい」

という希望から漢方相談に来局されました。

※本症例は一例であり、漢方薬による同様の経過や妊娠を保証するものではありません。

5年間ピルを服用していた29歳女性

この方は、ニキビや不正出血があったことから、5年前からピルを服用されていました。

ピルを服用している間は、ニキビや不正出血などの症状が抑えられていました。

しかし29歳になり、将来の妊娠を考えるようになったことで、

「このままピルを飲み続けてよいのだろうか」

「将来は妊娠したい」

「できればピルをやめて、自然な生理周期を目指したい」

と考えるようになりました。

そこで漢方相談に来局されました。

ピルをすぐに中止せず、3か月間は併用

来局時、ピルが3か月分残っていました。

そこで、ピルを自己判断で中止するのではなく、残っている3か月間はピルを服用しながら、漢方相談を併用していくことにしました。

この段階では、妊娠を急いで目指すというより、

「ピルをやめた後の自然な生理周期を目指しながら、現在気になっている体調も整えていく」

という方針で相談を進めました。

相談時に確認した体調

ピルを服用する前には、

  • ニキビ

  • 不正出血

  • 生理前のイライラ

  • 生理前の便秘

  • 生理前の食欲増加

などがありました。

また、相談時には、

  • 汗をかきやすい

  • 尿の回数が多い

  • 便がたまるとコロコロ便になる

  • 食べた分だけ体重が増えるように感じる

  • 生理前に食欲が増える

といった状態も確認しました。

生理痛はありませんでした。

まずは生理前の食欲や便通などを中心に相談

お身体の状態を詳しく伺ったうえで、まずは、

生理前の食欲増加や便秘など、現在気になっている体調を整えること

を中心に漢方薬を選びました。

あわせて、自然薬の松寿仙も服用していただきました。

このように、最初から「妊娠のための漢方薬」という一つの目的だけに絞るのではなく、その時点で気になっている体調を確認しながら相談を進めました。

漢方薬を服用して2週間、お通じに変化

漢方薬を服用して2週間。

まず変化を感じたのが、お通じでした。

以前よりお通じの調子が良くなり、

「食べた分だけ体重が増えてしまうような感じも以前より気にならなくなった」

とのことでした。

その後も相談を継続しました。

ピルを飲み終えた後、33日目に生理が来る

3か月分のピルを飲み終えた後、ピルを中止しました。

その後、

33日目に生理が来ました。

ピルをやめることで、

「生理が全く来なくなるのではないか」

と心配されていましたが、まず自然な月経が確認できました。

生理前には少しイライラを感じましたが、

「以前ほどひどくない」

とのことでした。

その後は28~32日程度の生理周期に

その後も漢方相談を継続しながら、生理周期や体調を確認していきました。

すると、生理周期は、

28~32日程度

で推移するようになりました。

また、

  • ニキビがほとんどできなくなった

  • 不正出血がみられなくなった

  • 生理前のイライラが以前ほど強くない

といった変化もみられました。

途中で39~41日になることも

その後、1年以上にわたって同じ漢方薬を服用しました。

比較的安定していた時期もありましたが、徐々に、

「生理前になると食欲が増える」

「便秘気味になる」

「ニキビができて、なかなか治らない」

といった変化が出てきました。

そこで、その時点でのお身体の状態を改めて確認し、漢方薬を変更しました。

変更後には、一時的に、

39日、41日

と生理周期が長くなることもありました。

そこで、生理周期だけを見て漢方薬を固定するのではなく、その時々のお身体の状態を確認しながら相談を継続しました。

その後、徐々に生理周期が落ち着き、

28~32日程度

の周期になることが増えていきました。

結婚後、妊娠を希望するように

漢方相談を続けている間に結婚されました。

この時点では、すぐに妊活を始めるというより、まずは体調を確認しながら経過をみていました。

その後、結婚してから、

「一度タイミングをとってみよう」

ということで妊娠を考えることになりました。

漢方相談開始から約1年10か月後に妊娠

漢方相談を始めてから約1年10か月。

結婚後にタイミングをとったところ、

妊娠されました。

約5年間ピルを服用していたこともあり、

「ピルをやめたら生理はどうなるのだろう」

と心配されていましたが、ピルを終了した後も生理周期や体調を確認しながら相談を継続し、その後妊娠に至った症例です。

この症例から分かること

この症例で大切なのは、

「ピルをやめたら妊娠できた」

という単純な話ではありません。

この方の場合、最初の相談目的は妊娠そのものではなく、

「将来の妊娠を考えて、ピルをやめた後も自然な生理周期を目指したい」

ということでした。

そのため、ピルを中止した後の生理周期や体調を確認しながら、必要に応じて漢方薬を変更して相談を継続しました。

途中で39~41日と周期が長くなる時期もありましたが、その後28~32日程度に落ち着きました。

そして、結婚後に妊娠を希望するようになり、妊娠に至りました。

ただし、この一例から、

「漢方薬によって生理周期が整い、妊娠した」

と断定することはできません。

妊娠には、排卵の状態、年齢、卵管や子宮の状態、精子の状態、生活習慣など、さまざまな要因が関係します。

また、PCOSで妊娠を希望する場合には、必要に応じて婦人科や不妊専門医療機関で排卵の状態などを確認することが重要です。

PCOSでピルをやめたい方に大切なこと

「ピルをやめたい」と思ったときには、単純に薬を中止することだけを考えるのではなく、

1.なぜピルを飲んでいるのか

月経周期、ニキビ、出血など、現在のピルの目的を確認します。

2.ピルをやめた後、どうなりそうか

ピルを飲む前の生理周期や症状を振り返ってみましょう。

3.いつ妊娠したいのか

「将来妊娠したい」のか、「そろそろ妊活を始めたい」のかによって考え方が変わります。

4.ピルをやめた後の月経・排卵を確認する

月経が来ているかだけでなく、必要に応じて排卵についても確認します。

5.医療機関と相談しながら進める

ピルの中止や妊娠希望がある場合は、処方している医師に相談しましょう。

ピルをやめたら生理が来なくなったら?

PCOSの方では、

「ピルをやめてから生理が来なくなった」

ということがあります。

この場合は、

  • 妊娠していないか

  • 排卵が起こっているか

  • PCOSによる排卵障害があるか

  • その他のホルモン異常がないか

などを確認する必要があります。

「ピルをやめたばかりだから、そのうち来るだろう」と長期間そのままにするのではなく、月経が来ない状態が続く場合は婦人科に相談しましょう。

関連記事:PCOSで生理が来ないのはなぜ?

PCOSで生理が来ないのはなぜ?何か月来なければ受診?原因・放置するリスクを薬剤師が解説

ピルをやめた後の妊活について

ピルをやめた後に妊娠を希望する場合、

「生理が来れば妊娠できる」

と単純に考えることはできません。

妊娠には排卵が必要であり、PCOSでは排卵が不規則になることがあります。

そのため、

「いつ排卵しているのか分からない」

「排卵検査薬を使っているけれど判断しにくい」

「生理周期が長くなってきた」

という場合には、婦人科で相談することが大切です。

関連記事:PCOSで妊娠できる?自然妊娠を希望する方へ

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でも妊娠できる?37歳の漢方相談事例から妊活で大切なことを解説

PCOSで「ピルをいつまで飲むのか」と悩んでいる方へ

PCOSのピルについて、

「いつまで飲むの?」

という疑問に対して、全員に当てはまる一つの答えがあるわけではありません。

現在の症状、治療目的、月経周期、妊娠希望などによって考え方が変わります。

特に、

「将来妊娠したいので、いつかピルをやめたい」

と考えている場合は、早い段階から今後の治療について主治医と相談しておくことが大切です。

また、

「ピルをやめた後の生理周期が心配」

「ピル以外の方法についても相談したい」

「将来の妊娠に向けて、今から体調を整えておきたい」

という方は、漢方相談という選択肢について検討することもできます。

PCOSの漢方相談では、何を相談するの?

漢方相談では、生理周期だけを見るのではなく、その時々のお身体の状態を確認します。

例えば、

  • 生理周期

  • 生理前のイライラ

  • 食欲の変化

  • 便秘

  • ニキビ

  • 不正出血

  • むくみ

  • 汗のかき方

  • 睡眠

  • ストレス

  • 体重の変化

などです。

今回の症例でも、最初から最後まで同じ漢方薬を固定したわけではありません。

その時々のお身体の変化を確認しながら、漢方薬を変更して相談を続けました。

PCOSの方にとって、

「ピルをやめるかどうか」だけではなく、「ピルをやめた後、自分の身体とどう付き合っていくか」

を考えることも大切です。


PCOSでピルについて、このようなお悩みはありませんか?

  • PCOSでピルを5年以上飲んでいる

  • ピルをいつまで続ければよいのか分からない

  • 将来妊娠したいのでピルをやめたい

  • ピルをやめた後に生理が来るか心配

  • ピルをやめたら生理周期が長くなりそう

  • ピルをやめた後の排卵が心配

  • PCOSのニキビや不正出血も気になる

  • 妊娠を考える前から体調を整えておきたい

  • ピル以外の方法についても相談してみたい

このような場合は、まず現在の治療内容と、これからどうしたいのかを整理してみましょう。

PCOSの漢方相談をご希望の方へ

当薬局では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)について、月経周期だけでなく、その方の体調や生活習慣、これまでの経過などを伺いながら漢方相談を行っています。

「ピルをやめたいけれど、やめた後が心配」

「将来妊娠したいので、今から身体を整えておきたい」

という方も、まずは現在のお身体の状態についてご相談ください。

ピルの中止や妊娠に関する治療については、婦人科・主治医の先生と相談しながら進めることを大切にしています。

まとめ|PCOSのピルは「いつまで」ではなく、その時の目的と今後の希望で考える

PCOSのピルは、「PCOSなら○年間飲む」というように一律に期間が決まっているわけではありません。

現在の症状や治療目的、妊娠希望などによって、治療方針は変わります。

また、ピルをやめた後には、自然な月経や排卵がどのようになるのかを確認することも大切です。

今回ご紹介した29歳女性は、約5年間ピルを服用していました。

将来の妊娠を考え、

「ピルをやめて、自然な生理周期を目指したい」

という希望から漢方相談を開始。

3か月間はピルと漢方薬を併用し、その後ピルを終了しました。

その後は28~32日程度の生理周期で推移し、途中で39~41日になる時期もありましたが、再び28~32日程度に落ち着きました。

そして、漢方相談開始から約1年10か月後、結婚後にタイミングをとったところ妊娠されました。

これはあくまで一例ですが、

「ピルをやめた後の生理周期が心配」

「将来妊娠したいので、今から身体を整えておきたい」

というPCOSの方が、自分の今後を考える際の一つの参考になる症例です。

ピルを続けるか、中止するかについては自己判断せず、現在の治療目的や今後の妊娠希望について主治医と相談しながら考えていきましょう。

※本症例は一例であり、漢方薬による同様の経過や妊娠を保証するものではありません。

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